「OMO時代における金融機関の新しい顧客との繋がり方」
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【講演者】
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株式会社セールスフォース・ジャパン
マーケティングクラウド本部 第三営業部 部長
飯島 久貴 氏
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【講演者】
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セールスエンジニアリング本部
ソリューションエバンジェリスト
リン ローズ 氏
<セールスフォース・ジャパンのご紹介>
当社は1999年に創業以来、CRMを軸に金融機関を始め、様々な企業の変革をお手伝いしてきた。日本のお客様へのサービス・支援体制を強化するため、2022年2月1日より社名を「セールスフォース・ドットコム」から、「セールスフォース・ジャパン」に変更。さらにアジアでは初となる「Salesforce Tower」を東京・大手町に開設し、本社を移転した。
<変化する私たちの世界>
ここ数年で私たちの暮らしは劇的に変化し、WEBを通じたコミュニケーションは日常的となり、場所を問わず繋がることが当然の世界になってきている。当社の調査で「パンデミックによって変化した働き方は今後も継続していく」と考える人の割合は、69%となっている。これに伴い、お客様とつながる方法を再構築する必要がある。
お客様の視点で考えてみると、ここ数年間のコロナ禍から生まれた「ニューノーマル」によって得られた利便性をわざわざ捨てることはない。もはやパンデミック以前に戻ることはないと考えられる。
<お客様と金融機関のコミュニケーション変化>
対面接点の減少、若年層との接点づくり、顧客層の高齢化などにスピーディーに対応する必要があり、デジタルマーケティングへの期待も高まっている。当社の調査では68%の消費者が、新型コロナウイルスの影響で企業に高いデジタルでの対応力を期待するようになったと回答した。一昨年から現在にかけて、オンライン面談やセルフポータル等デジタルを介して繋がる仕組み作りが進んでいる。一方でコミュニケーションが一層複雑化しており、リアル、デジタル関係なく、お客様に寄り添った最適なパーソナライズされたコミュニケーションが求められている。
当社が毎年行っている調査では、マーケターの優先事項としてリアルタイムに顧客とつながることは当たり前となっている。顧客接点ごとに、いかに顧客体験を高められるかが重要になってきている。お客様からのデータを統合・管理するだけではなく、データとアクションが連動し、組織の業務と結びついて改善を繰り返すことが必要だ。顧客データソースの一元化を通じたコミュニケーションも、コロナ禍を機に求められてきている。
<西日本シティ銀行におけるOne to Oneマーケティングへの取り組み>
デジタルマーケティングもそれまでの効率化重視の方向から、お客様に寄り添った施策への変化が求められている。西日本シティ銀行では「One to Oneソリューションの提供」を基本戦略に掲げ、当社のデジタルマーケティングプラットフォームを活用いただいている。それまでは顧客情報がチャネルごとにバラバラに管理されており、一律的なマーケティング施策では効果が頭打ちとなっていたことを課題とされていた。当社のプラットフォーム導入によりスマホアプリを核にした顧客情報を収集し、MA基盤を整備して施策展開の効率化を実現された。アプリ活用によりデータ収集が高度化され、リアルタイムでパーソナライズされた顧客体験の提供が可能となった。具体的な取り組みとして、ビッグデータの集約・分析を行うMCIFシステムを通じたOne to Oneコミュニケーション、当社のServicde Cloudを組み合わせたコールセンター業務との連携が進められている。
<OMOの実現に向けた全体像>
当社は金融機関のお客様体験価値向上・事業拡大を実現するため、「Customer360」として、デジタルとリアル双方のビジネス・業務・データを一気通貫でシームレスに繋げるシステム基盤で支援する。なお保険業界向けとしてオンデマンドセミナーを別途ご用意しており、一度ご覧いただきたい。
<デモンストレーション1:登場人物とストーリーの概要>
ここからは、Salesforceで実現するデジタルマーケティングを活用したカスタマージャーニーについて、当社の製品のデモンストレーションを交えてご紹介する。本日のストーリーの登場人物は、お客様の渡辺さん親子と、Cumulus銀行でマーケティングと営業を担当する方々だ。
渡辺智也さんは58歳・既婚、大手メーカーの部長としてお勤めで、Cumulus銀行のプレミアム顧客である。渡辺さんの長男の剛さんは25歳・未婚、親とは離れて暮らしており、Cumulus銀行の一般顧客だ。一方、Cumulus銀行のマーケティング施策の企画から実務を担当するのが橋本さん、また渡辺さんのようなプレミアム顧客の営業担当を務めているのが宮下さんとその上司の山本さんだ。
今回ご紹介するストーリーの流れは、お客様のニーズ喚起、提案、ご家族へのクロスセル、最後にデータ分析による現状把握および改善への取り組みだ。
<デモンストレーション2:ニーズ喚起>
マーケティング担当の橋本さんは定年前のお客様向けに、資産運用のターゲティング広告を配信してニーズ喚起を行う。Salesforce CDPを利用し、資産が5,000万円~1億円の準富裕層で、定年退職に近い年齢のお客様を対象とする。週末、渡辺さんが閲覧しているニュースサイトに、自分が口座を保有するCumulus銀行の退職予定者向けの無料相談サービスの広告が表示された。定年退職後の人生設計や資産運用について相談したいと思っていた渡辺さんは広告をクリックし、パーソナライズされたプレミアム顧客向けのコンサルティングサービスについて閲覧した。
月曜の朝に営業担当の宮下さんがSalesforceにログインすると、広告に反応があった顧客リストがトスアップされていた。WEB上での行動ログから算出される行動スコアについて、渡辺さんのスコアが高いためアプローチの対象として選定した。宮下さんはあらかじめ用意されたテンプレートを使い、渡辺さんへ面談を促す1 to 1メールを送付。渡辺さんは受診したメールのリンク先でコンサルティングサービスの流れを確認し、オンライン面談の予約を行った。
<デモンストレーション3:提案>
宮下さんは面談前にSalesforceで渡辺さんのプロファイルを確認し、ヒアリング事項とリスクを抑えた商品提案を用意した。オンライン面談当日は、Salesforceとシームレスに繋がるオンライン面談ツールを使用。現状や定年退職後の計画のヒアリングとライフプランシミュレーションを行い、計画や志向に合わせたプランを紹介し、ポジティブな反応を得た。面談後、ヒアリングした内容をSalesforceに登録し、ライフプランや家族情報を更新した。
2年後の定年のタイミングで、宮下さんは生前贈与とリスクを抑えたファンドラップを組み合わせた退職プランの提案を用意。オンライン面談で渡辺さんは契約することを決意した。
< デモンストレーション4:クロスセル>
宮下さんは生前贈与の受取人である、渡辺さんの息子さんのプロファイルを確認。Salesforceで優待金利の定期預金の案内の推奨が表示され、メールで案内をする。息子の剛さんがメールを開いてリンクをタップすると銀行アプリが立ち上がり、特別に用意された優待金利付き定期預金がアプリでおすすめされ、自分に合った提案だと感じた剛さんは申込をした。
< デモンストレーション5:分析>
宮下さんの上司の山本さんは営業ダッシュボードで今季KPIの進捗を確認。目標未達成の項目をクリックし、ダッシュボードを深堀することができる。分析画面で気になるお客様をクリックするとエンゲージメント画面が表示される。これまでのアクションと送付したキャンペーンへの反応などが可視化され、営業担当者への示唆や営業状況の改善などのPDCAの実施に役立てることができる。
以上Salesforceで実現するデジタルマーケティングを活用したカスタマージャーニーについてデモンストレーションでご紹介した。デジタルとリアル、双方のビジネス・業務・データを一気通貫でシームレスに繋げるシステム基盤を活用することで、どのようにお客様の体験価値を向上していけるのか、検討のご参考になれば幸いだ。
企業情報
株式会社セールスフォース・ジャパン:https://www.salesforce.com/jp/