2022年4月14日(木)開催 FINANCE WEBINAR「金融機関におけるデジタルを活用したコンタクトセンター改革」<アフターレポート>


2022年4月14日セミナーインフォ主催FINANCE WEBINAR「金融機関におけるデジタルを活用したコンタクトセンター改革」が開催された。近年、コールセンターの役割は、電話対応のみならず、チャットボット・有人チャットやWebフォームの対応など、デジタルチャネルで顧客対応するコンタクトセンターへと変化してきている。時間や場所を選ばない顧客対応を可能にし、さらには個別のニーズに応じて最適なチャネルに顧客を誘導するなど、顧客ロイヤルティを向上させることが可能となり、さらなるビジネスの成長を促進することが期待されている。本セミナーでは基調講演としてゆうちょ銀行、特別講演として住信SBIネット銀行にデジタルを活用したコンタクトセンターの最新動向をご紹介いただいたほか、各先進企業より最新技術をご紹介した。本セミナーが金融機関のコンタクトセンター確立のためのヒントになれば幸いだ。

目次

「コンタクトセンターからカスタマーエンゲージメントセンターへ
〜対面/非対面を問わないシームレスな顧客体験の実現〜」

鶴田 健悟 氏
【講演者】
株式会社セールスフォース・ジャパン
クラウドセールス統括本部 Service Cloud営業本部
Service Cloud第四営業部 Service Cloud担当マネージャー
鶴田 健悟 氏

<はじめに>

弊社は、金融機関向けのFinancial Services Cloudをはじめ、各種ソリューションを提供する世界ナンバーワンのCRM企業である。これまで弊社のソリューションは多くの企業に採用いただき、それに伴い弊社もパートナーやお客様とともに成長を続けてきた。

今後もこれまでと同様お客様に寄り添い、お客様のビジネスの成功に貢献していきたいと考えている。さて、弊社が提供するソリューションは一貫したコンセプトにもとづいて設計されている。そのコンセプトこそがCustomer360だ。Customer360は単一のお客様情報を中核として、営業、サービス、マーケティング、ITといった様々な部門が連携し、顧客を深く理解した上で一貫したサービスを提供するという考え方である。

今回は、Customer360を体現した弊社のカスタマーサービス部門向けのソリューション、さらにそれによって実現されるコンタクトセンター改革である「カスタマーエンゲージメントセンターの実現」についてお話しできればと思っている。

カスタマーエンゲージメントとは

まず、本日のセッションのタイトルにもなっている「カスタマーエンゲージメント」というキーワードについて簡単に説明したい。

昨今の新型コロナウイルスの影響に伴う生活様式および人々の行動変容などに伴い、あらゆる企業がデジタルファーストへの変革を迫られている。デジタルファーストの時代におけるビジネスの成長で、大切なもの。それは、デジタルチャネルと対面チャネルの差を意識させないシームレスな顧客体験だ。

弊社の調査によれば、約8割のお客様は部門間の垣根を越えて一貫した顧客体験を受けたいと望んでおり、さらに約9割のお客様は顧客体験がよい場合に金融商品を購入する、と答えている。つまり、顧客体験の良し悪しは、企業の業績にも大きく影響するのだ。良い顧客体験を提供し、カスタマーエンゲージメントを高めることは現在の企業にとって重要な経営課題といってもよいだろう。

しかし、顧客の求めるシームレスな顧客体験を実現することは容易ではない。現状の金融機関での顧客体験に満足しているお客様はたった27%しかいないこともわかっている。

シームレスな顧客体験を実現するために

シームレスな顧客体験を実現するためには、各部門の連携が不可欠である。たとえば銀行がモバイルアプリを提供している場合を想定してみたい。スムーズに顧客にサービスを提供するためには、IT部門が営業やカスタマーサポートなどと連携しながら、アプリの利用状況を適宜把握し、問題が起きたときには即座に関係者に連絡するなど適切な対応を行わなければならない。

こうした一連の対応を実現するためには、お客様視点で業務プロセスを見直し、デジタルを活用してプロセスの再設計と最適化を進めていく必要がある。すなわち、「一気通貫でシームレスな顧客体験を提供するにはどうすればよいか」という視点で、サービスの提供の在り方を見直さなければならないということだ。

カスタマーサービス部門の役割も大きく変化

コンタクトセンターについても同様のことがいえる。今日、カスタマーサービス部門の役割は以前にも増して重要度が高くなってきている。以前であれば、お客様から問い合わせをいただき、それに対して適切な回答を迅速に返すことが求められてきた。もちろん、こういった対応の重要性は今日でも変わることはない。しかし、競争が激化する中で、金融機関としての差別化を図るためには、問題解決だけでは不十分である。顧客に対してロイヤリティを醸成するということが求められてきているからだ。言い換えると、顧客を深く理解した信頼できるアドバイザーとして、顧客1人ひとりに即した対応が求められているということだ。

ガートナー社の調査によれば、すばらしい顧客体験を提供された場合に「次回も同じ企業を選ぶ」と回答したお客様の割合は約9割にものぼる。すばらしい顧客体験を提供することが、顧客の企業に対するロイヤリティを醸成し、選ばれることにつながるのだ。そして、コンタクトセンターは一連のプロセスの中で大きな役割を果たすことになる。

コンタクトセンターからカスタマーエンゲージメントセンターへ

それでは、すばらしい顧客体験を提供するためにコンタクトセンターはどのように変わっていくべきだろうか。それに対する弊社の答えは、「コンタクトセンターはカスタマーエンゲージメントセンターへと変革されるべきである」というものだ。

今後コンタクトセンターの果たすべき役割は、従来のような問い合わせ対応にとどまらない。深い顧客理解にもとづいて顧客1人ひとりに対応した特別な顧客体験を提供し、顧客との長期的な関係作りをサポートする。これもコンタクトセンターの役割になる。

コンタクトセンターがこうした使命を果たすためには、対面・非対面を問わない一貫したサービス提供、お客様を軸にした情報集約による深い理解、プロアクティブなアプローチによる継続的な顧客接点の創出という3つの要件を満たす必要がある。

事例紹介

弊社の提供するプロダクトは、コンタクトセンターが上記3つの要件を満たし、カスタマーエンゲージメントセンターへと進化することを可能にするものだ。

顧客のエンゲージメントを高める第一歩は、集約され、一元的に管理された顧客情報をもとに、シームレスな顧客体験を提供することである。たとえば、セールスフォースの金融業界向けソリューションであるFinancial Services Cloudでは顧客個人の取引情報やライフイベントはもちろん、関連企業や関連人物などの情報も1つの画面でまとめて確認できる。さらに、異なるチャネル間でもタイムリーに情報共有を行うことができるため、チャットボットから有人チャットに移行したような場合でも、オペレーターは素早く現在の状況やこれまでの顧客との会話を把握し、顧客に対してきめ細やかなサポートを行うことができる。

それだけではなく、蓄積してきたデータの分析を通して顧客の潜在ニーズを予測し、顧客の興味を引く提案を行うことも可能だ。さらに、これらのデータは部門を超えて共有されているため、対面・非対面を通して一貫した顧客対応が行える。そのため、アウトバウンドコールでアポイントメントを獲得した顧客を実店舗に送客する、といった作業もスムーズに行うことが可能だ。

<まとめ>

現在、金融機関には、顧客とのエンゲージメントを高めることが求められている。そこで、まず強調したいのが、お客様軸による情報の集約、Customer360の重要性である。お客様を軸にした情報の集約によって潜在的なニーズを捉えることができる。

企業にとっては、まず最初に取り組むべきポイントといえるだろう。次に、チャネルを問わないシームレスなお客様対応である。チャネルの違いを意識させない一貫した対応を行うことは、顧客の金融機関に対するロイヤリティの向上、ひいては売り上げの拡大につながっていく。3つ目は、パーソナライズされた顧客体験の提供である。お客様1人ひとりを理解した対応を行うことで、顧客のエンゲージメントを高め、継続的な関係を維持することができる。コンタクトセンターがカスタマーエンゲージメントセンターへと進化し、金融機関と顧客を結ぶハブになることが、デジタルファーストな時代の中で選ばれる金融機関としての大きな差別化要素になる。

弊社も、これからみなさまの変革に向けた取り組みを自社のプロダクトを通して支援していきたいと考えている。コンタクトセンター改革の一環として、弊社製品の導入も検討いただければ幸いだ。

◆講演企業情報
株式会社セールスフォース・ジャパン:https://www.salesforce.com/jp/

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