2021年10月21日(木)開催 INSURANCE FORUM「保険分野における顧客接点構築のためのデジタルアプローチ」<アフターレポート>


2021年10月21日(木)セミナーインフォ主催 INSURANCE FORUM「保険分野における顧客接点構築のためのデジタルアプローチ」が開催された。昨今の新型コロナウイルスの世界的流行により、保険業界においてもデジタルを活用した非対面チャネルの有効性が顕著にあらわれている。さらに、チャネルの多様化により、アプローチの手段は高度化しており、求められる技術は高くなっている。顧客にとって最適なアプローチを行うためには、顧客の動向を素早くキャッチし、適切なタイミングで行動することが求められている。本フォーラムでは各保険会社による最新事例をご紹介いただいたほか、協賛企業各社による最新のデジタル技術をご紹介した。

目次

「保険会社がデジタルアプローチでアワードを受賞する方法」

河上 勝 氏
【講演者】
eBaoTech Japan株式会社
代表取締役
河上 勝 氏

<InsureMOについて>

InsureMOは損害保険、生命保険や少額短期保険の各分野でビジネスを展開している企業の革新的なフロントエンド保険アプリケーションとレガシーシステムの双方に対応できるミドルオフィス用API接続プラットフォームである。

300サイトを超える保険会社に使用され、導入いただいた保険会社がデジタル保険の分野にて、多数のアワードを受賞している。アワードを受賞した保険会社の特徴は、効果的に顧客にアプローチし、最適な商品の提案、簡便なプロセスを提供していることだ。

保険のデジタル化で注目すべきポイントは、顧客が欲しいと思った時に、商品を買えるようにしていく、時流に乗った商品の発売、パーソナライズされた商品提案、どこでも買えるオムニチャネルの戦略、まとめて買えるワンストップサービスが挙げられる

<Z世代の行動変容>

保険会社が焦点とするZ世代は1つのポイントであると考えており、この世代は行動がスマホで完結している。基本的にはテレビなどは見ない、情報収集はTwitterとインスタグラムに変化しているという調査結果がある。

現在、デジタル対応が整っていない中で、お客さまが保険を契約する場合、保険営業の勧誘、紙での申込書記入など、相対的にお客さまの感情は上向きに上がらない現状であると考える。

幾つかの原因があり、1つめに、日本の法律上、認可が下りない傾向が強く、新商品の投入が遅延し、機会損失が生まれている。2つめに海外の場合は、自分のサイトに来ないことが当たり前という前提で、お客さまが使っている媒体にできるだけ進出をして、アプローチをしているが、日本の場合、自分のサイトに誘導するようなアプローチが多い。3つめにスマホを利用しているお客さまのうち、ショッピングをする際のカート離脱(カゴ落ち)が70%に上り、入力の手間やルールによって、実際に買おうとしている方が契約に至らないデジタル機会損失が発生している。最後に、デジタルアプローチを行おうとしているZ世代やもう一つ上の世代のパソコン使用率が低く、今後はより一層パソコンが上手に使えない人たちが増えてくるということが挙げられる。

今後、見えない未来に対し、柔軟に対応していく事が重要である。さまざまなオムニチャネルの構築、商品のパーソナライズ、情報連携は手元のスマートフォンに届けるなど、デジタル保険のカスタマージャーニーを変化させていく事で、お客さまの感情の揺れ、感情の向上につながっていくと考えている。

<事例:Aegon life>

インドの企業であり、レガシーを残したまま、ミドルオフィスのレイヤーを構築するということで導入いただき、商品の設定やチャネルの立ち上げを効率化した。

InsureMO上でマイクロサービス、APIを使いながら新商品を設定し、スピードアップ化、コストのダウンサイジング化に成功している。

特徴としては、新しいデジタルチャネルを2日間で立ち上げることが可能になり、商品の投入時間を数週間に短縮することができる。また、生命保険会社が出しているオープンAPIをエンドtoエンドでサポートしており、全てのチャネルに保険のセルフサービスを提供している。

<事例:台湾の保険会社>

台湾の保険会社の事例は、SNSでの顧客接点サービスである。保険会社のSNSの公式アカウントから保険の基本的なサービスを提供し、購入された保険サービスの情報からリスクの評価と、保険商品の提案をしている。ほとんどの商品が即時に購入可能になっており、購入後の保険料の徴収、支払い、チャット、コールセンターへの電話が行え、アプリの中でお客さまが考えられる要求に対応できるコミュニケーションツールである。

その中でも、お客さまに喜ばれているのが保険金の請求であり、一定金額以内の申請であれば1時間以内に保険金が下りる仕組みを構築しており、お客さまにとって利便性が高いと評価をいただいている。

<事例:タイの保険販売プラットフォーム>

タイの保険販売のプラットフォームでは、複数の保険会社がこのプラットフォームを活用して、ブローカー、銀行、旅行代理店、スーパーマーケット、銀行などの数百のチャネルを介してさまざまな損害保険商品を販売している。ここでは、見積もり、支払い、発行のプロセスをすべて4分で対応でき、一日あたり3万以上のポリシーがわれわれのInsureMOを通じて、販売、トランザクション処理をしていただいている。

<事例:中国の24の保険会社によるAPI連携>

中国では、24の保険会社がAPIを提供しており、当社のInsureMOをハブとして、3,500の代理店、カーディーラーにサービスを提供している。さらに保険会社や代理店だけのAPI連携ではなく、OCRサービス、コールセンター、車の貸し付けサービスなどのAPIを組み込んで、ワンストップサービスとして提供いただいている。そのほかにも、SAP、GPSサービスなどの他社システムとの連携も行っており、ワンストップで保険の販売や請求を受けられるような体制を構築している。この代理店システムを使い、昨年から一昨年にかけて、保険の件数が約2倍に増えている。

<レゴブロック・APIのInsureMO>

InsureMOはレゴブロック式に商品設定が可能であり、ベース商品の中にさまざまな細かい補償があり、付け外しや改めて再構築ができる仕組みである。保証、フィールド、約款の情報、ルール、限度額、免責、割引などが用意されており、最適な組み合わせを選び、保険の商品を作ると、アプリケーションに反映され、商品ベース毎に設定をして商品を作ることができる。また、保険ビジネスに必要なサービスと1500以上のAPIが提供されているため、自由に組み合わせることが可能だ。

そのほかにも、APIゲートウェイ機能による各種モニタリング機能も搭載しているため、APIの使用率を確認することができる。

InsureMOは、保険の販売に必要なサービス(デジタルチャネル)、顧客とのコミュニケーション(LINE、メール)、決済(カード、QRコード決済)、また運用に必要なサービス(見積、契約書作成、査定、保険金支払い)などのアプリケーションがマイクロサービス化されており、それらをつないで作るアプローチである。

基本テンプレートを選定し、テンプレートから商品を作成いただいたのちに、基本の情報、保障内容、レートのテーブル、代理店情報を設定で変更し、必要なマイクロサービスを選んでいく事で、業務アプリケーションが立ち上がり、販売がスタートできる。

最終的に、サーバー上にはお客さまが設定したAPIと商品情報が載り、ブラウザーの審査画面と連動して、実際のアプリケーションをSaaSとして提供することが可能である。

また、お客さまのモバイル、タブレット、ノートパソコン、ウェブサイトからInsureMOのAPI通じて、ペーパーレスで保険加入、収納、異動、保険金を受付ができ、事務担当は事務画面にてペーパーレスで対応することができる。

<アワードを受賞した会社の実践内容と今後の展望>

時代の潮流に乗り遅れないためのすぐ試せるAPIプラットフォーム構築や、新しいサービスの対応、お客さまが利用している、またはこれから利用される場所でサービスを届ける、マルチチャネルへの対応が重要である。

経済産業省は「2025年の崖」を克服するために、マイクロサービスの導入や、テストの環境自動化によって、開発の効率化やリソースの作業を短縮化することを掲げており、これらを解決するためのテクノロジーがすでに世の中にあり、使える状況になっていることを理解いただきたいと思う。また、市場変化への迅速な対応を求めており、システムを作らずに組み合わせることを推奨している。

Gartner社のレポートでは、戦略的なアプローチの仮説事項として、2024年までにローコードなアプリケーションがアプリケーション開発の65%以上を占めるようになると予想をしている。

これらの結果から、世の中的にもこのようなローコード開発の方向性で進んでいくと考えられる。

◆講演企業情報
eBaoTech Japan株式会社:https://www.ebaotech.com/jp

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