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ドローンの法規制を弁護士がやさしく解説 ~改正航空法と電波法

空撮や宅配から農業や建築への利用まで、ドローンの活用が世界中で進んでいる。ますます幅広い活用が期待される一方、日本での活用には航空法と電波法が関わるため、各法令を遵守しつつ適切に許可を取得することが必要である。本稿では、ドローンを取り巻く法規制を整理し、今後の展望を予測する。

ドローンの法規制を弁護士がやさしく解説 ~改正航空法と電波法
  1. ドローンの普及と課題
  2. ドローンの活用事例
  3. 日本におけるドローンの法整備
  4. ドローンを取り巻く法規制(1)改正航空法
  5. ドローンを取り巻く法規制(2)電波法
  6. ドローンの今後の展望(ロードマップ)

ドローンの普及と課題

先日、Amazonがイギリスで、ドローンを使用して個人向けの宅配を行ったことが話題になった。当該サービスはまだまだ実証段階であるとのことであるが、約13分の完全自動運転の結果、商品は無事に配送されたようである。

インターネットで注文した商品がドローンにより空を超えて自分の手元に届く。非常に夢のある話だが、日本でこのようなサービスが始まるのはいつになるだろうか。

日本でドローンによる宅配を行うためには、日本の住宅事情を踏まえると、諸外国よりも高度の正確性が必要のように思われ、技術的に超えなければならない点も多々あるように思われる。

しかし、このような技術的問題点を解消できたとしても、当然ながら、法律に違反する形でサービスを実施することはできない。新たなサービスを開始する場合、常に法律との適合性に留意する必要がある。

ドローンの活用事例

ドローンの活用事例

ドローンによる空撮

前述したドローンによる宅配の他にも、ドローンは種々の方面で既に活用されている。ドローンを用いた空中からの撮影(空撮)はその一例であり、既に、多くの方がドローンの空撮映像を見たことがあるだろう。

カメラ登載のドローンは各メーカーから多数販売されているが、安いものであれば1万円以下で購入可能である。マスメディアだけではなく、個人でもドローンによる空撮を行い、YouTube等でその撮影映像が公開されている。

農業分野におけるドローンの活用

ドローンによる農薬の散布は実用化されてから既に久しいし、ドローンに種々のセンサーを搭載し、農作物の生育状況を詳細に把握するといった取組みも行われている。

このようなドローンの活用は、農林水産省が近年推進している「精密農業」(農地・農作物の状態を良く観察し、きめ細かく制御し、その結果に基づき次年度の計画を立てる一連の農業管理手法)にも大いに貢献している。

建築・土木分野におけるドローンの活用

測量作業や点検作業等、これまでの技術では時間やコストがかかってしまう作業も、ドローンを利用することにより、効率化することが可能となっている。

日本におけるドローンの法整備

日本におけるドローンの法整備

このようにドローンの活用事例は枚挙に暇がない。しかし、上述したとおり、ドローンを活用する場合には、法律との適合性に留意する必要がある。

平成27年4月22日、ドローンが首相官邸に落下するという事故が発生した。当時盛んに報道されたので、覚えている方も多いであろう。

この事件を一つの契機とし、日本におけるドローンの法整備は急ピッチで進められ、同年12月10日には改正航空法が成立した。また、現在、ドローンは操縦や映像の伝送等に電波を使用するため、電波法を遵守する必要もある。

以下では、改正航空法を中心に紹介するとともに、電波法の規制についても紹介していく。

ドローンを取り巻く法規制(1)改正航空法

ドローンを取り巻く法規制(1)改正航空法

ドローンの法整備を解説する上で、航空法の解説は必要不可欠である。航空法は、以下に述べるとおり、飛行できる空域、飛行の方法等、ドローンに関する基本的な事項を定めている。

無人航空機とは

ところで、これまで「ドローン」という用語を使用してきたが、航空法には「ドローン」という用語は一切出てこない。

航空法では、「航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器であつて構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることができるもの(200g未満のものを除く。)」を「無人航空機」として定義しており、ドローンはこの無人航空機の一つとして、航空法の適用を受けることになる。

飛行可能空域

無人航空機は、国土交通大臣の許可を受けなければ、次に掲げる空域では飛行させてはならないこととなっている。

  • (A)空港等の周辺(進入表面等)の上空の空域【下図A】
  • (B)地表又は水面から150m以上の空域【下図B】
  • (C)国勢調査の結果を受け設定されている人口集中地区の上空【下図C】
図:ドローンと改正航空法

例えば、東京都内であれば、23区内は(C)に該当するため、国土交通大臣の許可を受けなければ、無人航空機を飛行させることはできないが、町田市等では上記(A)(B)(C)のいずれにも該当しない地域(すなわち、国土交通大臣の許可なしに飛行させることが可能な地域)が存在する。

飛行の方法等

また、飛行させる場所に関わらず、国土交通大臣の承認を受けた場合を除き、無人航空機を飛行させる場合には以下の事項を遵守する必要がある。

  • 日中(日出から日没まで)に飛行させること
  • 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
  • 人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車等)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
  • 祭礼、縁日等多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
  • 爆発物等危険物を輸送しないこと
  • 無人航空機から物を投下しないこと

したがって、たとえ国土交通大臣の許可なしに飛行できる空域であっても、原則として、夜間に無人航空機を飛行させることはできないし、祭礼等のイベントが開催されている場合に飛行させることもできない。

許可等の申請状況

飛行可能空域、飛行の方法等のとおり、一定の場合、無人航空機を飛行させるためには国土交通大臣の許可を得る必要がある。

この点、かかる許可の取得はそれほどハードルが高いものではないようである。改正航空法施行後、個人・企業により多数の許可申請がされており、実際に多数の許可が下りている(平成28年度の許可件数は、国土交通省の公表する資料によると、筆者が確認した時点(平成28年12月26日時点)で7400件超であった。)。

ドローンを活用する場合、飛行可能空域、飛行の方法等に該当するか否かを検討した上で、適切な許可を取得することが必要である。

ドローンを取り巻く法規制(2)電波法

ドローンを取り巻く法規制(2)電波法

電波法は、一定の例外を除き、無線電信、無線電話その他電波を送り、又は受けるための電気的設備を操作する場合は総務大臣の免許を受ける必要がある旨を定めている。そして、免許を受けるためには、無線設備、使用する無線の周波数等が電波法の定める一定の基準を満たしている必要がある。

この点、ドローンの操縦にあたって電波が使用される。また、ドローンで撮影した映像を手元の機器等にリアルタイムで伝送する場合等にも電波が使用される。したがって、ドローンの使用にあたっては総務大臣の免許を受けることが原則として必要となる。

もっとも、上記のとおり、一定の場合は免許が不要となる。詳細には立ち入らないが、いわゆる技適マークが付されているドローンであれば免許不要となることが多い。実務上も、この例外規定に該当するものとして、免許を得ずにドローンを使用することが多いようである。

ドローンの今後の展望(ロードマップ)

ドローンの今後の展望(ロードマップ)

冒頭で「日本でドローンを利用した宅配サービスが始まるのはいつになるだろうか」と自問したが、実は、ドローンによる荷物配送は早ければ平成30年頃に実現される可能性がある。

というのも、安倍総理が平成27年11月5日に開催された第2回 未来投資に向けた官民対話にて、「早ければ3年以内に、ドローンを使った荷物配送を可能とすることを目指します。このため、直ちに、利用者と関係府省庁等が制度の具体的な在り方を協議する官民協議会を立ち上げます。」と発言しており、実際に立ち上げられた官民協議会で作成されたロードマップでも平成30年ころから離島や山間部等での荷物配送が行われることが謳われているからだ。

かかるロードマップでは荷物配送の他にも種々の目標が定められており、ドローンの今後の展望を考えるにあたり大変参考になる。

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平田 省郎 氏 【 寄稿 】
大江橋法律事務所
弁護士

平田 省郎 氏

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