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米国のOFAC制裁プログラムは輸出・再輸出規制と並行して適用

米国政府が行う経済制裁は多種に渡り、その対象も国・活動・人と様々である。本稿では、OFACの管理する経済制裁を中心に見ていき、OFACを含め並行して適用される輸出・再輸出規制の適用範囲、さらには企業活動において懸念される影響まで幅広く解説する。

米国のOFAC制裁プログラムは輸出・再輸出規制と並行して適用
  1. 多岐にわたる制裁対象
  2. 規制当局間で異なる活動
  3. 企業活動に支障が出るケースも

多岐にわたる制裁対象

米国政府は、包括的なものから限定的に特定したものまで、様々な経済制裁をとっている。これには、国連安全保障理事会決議に基づくような多数国間の合意に基づくものもあれば,米国独自の経済制裁もある。

制裁は、米国財務省外国資産管理室(US Department of the Treasury’s Office of Foreign Assets Control・OFAC)が主に管理している。制裁の対象は、米国の国家安全保障もしくは、対外政策上の理由から問題があると考えられる特定の地域・国(例えば,クリミア、キューバ、イラン、北朝鮮、シリアなど)、その政府、人(例えば、テロリスト、麻薬密売人、大量破壊兵器の拡散者)のこともあれば、特定の活動や産業分野(例えば、ロシアでの金融機関に新しい貸付(debt)や持分(equity)を提供すること、ロシアにおける非在来型石油・ガス関連事業活動を支援すること、ベネズエラ政府およびその関連企業の社債や新しい金融手段を取り扱うこと等)であることもある。

規制当局間で異なる活動

OFACの制裁プログラムは、米国の輸出・再輸出規制と並行して適用される。米国の輸出・再輸出規制は、別途、米国商務省産業安全保障局(US Department of Commerce’s Bureau of Industry and Security・BIS)および米国国務省(US Department of State)によって公布され管理される。当局間において重複があったり、管轄を共有している場合もあるが、各当局は異なる活動をしており、そのルールは、域外適用についても異なるアプローチである。

  • OFACの制裁の管轄は、「米国人」および、米国制裁によって禁止されている取引や行動を促進するようなかたちで米国であるいは米国人による行動を引き起こす非米国人におよぶ。一定の状況下、OFACの管轄は、米国制裁の下ブロックされ凍結される資産に加えて、物やソフトウェア、もしくは技術の輸出にも適用される。
  • これとは対照的に、米国輸出・再輸出規制における管轄は、米国人か非米国人であるかを問わず、あらゆる人による米国産、矮少(de minimis)レベルを超えた米国産品を含む非米国産品、もしくは、特定の米国技術からの直接の生産物である物、ソフトウェア、技術(これらを「米国管轄に服する対象物」という)の米国からの輸出、移転、再輸出に限定される。

OFACのターゲット対象者は、OFACが管理する、特別指定国民・凍結者リスト(Specially Designated Nationals and Blocked Persons List・SDNリスト)に掲載されている。OFACがターゲット対象者との取引などを禁止していることに関して、相手方自身がSDNリストに掲載されていない場合でも、SDNリスト掲載者によって50%以上所有されている場合には対象となる。OFACにはまた、SDNリストより緩やかな規制の対象者のリストとして、List of Foreign Sanctions EvadersやSectoral Sanctions Identifications Listなどがある。

企業活動に支障が出るケースも

上述のように、OFACの管轄は、「米国人」のみならず、米国制裁によって禁止されている取引や行動を促進するかたちで米国であるいは米国人による行動を引き起こす非米国人におよぶ。例えば、ターゲットとなっている地域やターゲット対象者を含む米国外で起こった取引を支援するかたちで、米国の金融機関を通じて米国ドル建ての資金を移転する決済を非米国銀行が行った場合に、刑事および民事のペナルティーの対象になる場合がある。米国外での米国ドルを含む取引は、制裁と関係があるとみなされる。非米国人は、ターゲット地域に米国制裁の管轄に服する物、技術もしくはサービスを再輸出する場合にも、OFACの対象となる。

一次的制裁(primary sanction)の下での管轄の問題としては人や活動が米国制裁の対象ではない場合でも、特定の制裁プログラム(例えば、イラン、ロシア)は、非米国人が米国の管轄のおよばないところでの一定の活動に従事することを妨げることを意図して、報復的な二次的制裁(secondary sanctions)を課すことを認めている。このような制裁は、非金銭的(non-monetary)であるが金銭的なペナルティーよりも企業の活動にとっては、より支障になる場合がある。

寄稿
ベーカー&マッケンジー法律事務所
弁護士
末冨 純子 氏
弁護士(日本国・米国ニューヨーク州)、早稲田大学法学部非常勤講師、日本
国際経済法学会所属、東京弁護士会人権擁護委員会委員長、財務省関税・外国
為替等審議会専門委員
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【 寄稿 】
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