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金融当局による保険代理店モニタリングの動向と着眼点

2019年9月以降関東財務局は、約60社の保険代理店に対し8つ程度のテーマについて立入ヒアリングを実施している。本稿では、金融当局による保険代理店へのモニタリング動向と監査の重要性について、保険代理店へのコンサル経験を豊富に持つ弁護士が解説する。

金融当局による保険代理店モニタリングの動向と着眼点
  1. 財務局の立入ヒアリング
  2. 「監査」の重要性

財務局の立入ヒアリング

関東財務局は2019年9月以降、同財務局管内の約100社の保険代理店にアンケートを送付し、そのうち約60社の保険代理店に直接対話(立入ヒアリング)を実施している。アンケートの内容としては、意向把握・確認のプロセス、比較・推奨の実施状況、点検・監査の実施状況、保険会社の監査の実効性の確認、募集人教育の実施状況、募集人の管理・指導状況、顧客本位の業務運営の原則に対する対応状況等が挙げられているようである。

また、他の財務局を含め、一部の事業報告書を提出した規模が大きい特定保険募集人(①業態ごとに所属保険会社などの数が15社以上、または、②業態ごとに所属保険会社などの数が2社以上かつ業態ごとに手数料・報酬等の合計が10億円以上の代理店)に対しても、アンケートの送付とヒアリングが行われている。アンケート項目としては、顧客本位の業務運営の取り組み状況、お客様の声(苦情等)の対応状況、業績・評価基準、保険会社からの教育・管理・指導等が挙げられているようである。

前述のアンケートにもあるように、保険代理店においても、顧客本位の業務運営の取組みは金融当局の重要な関心事である。金融庁は、「利用者を中心とした新時代の金融サービス~金融行政のこれまでの実践と今後の方針~(令和元事務年度)」(2019年8月28日公表)において、「「取組方針」(※筆者注:顧客本位の業務運営を実現するための取組方針)について、「原則」(※筆者注:顧客本位の業務運営に関する原則)の文言を若干変えた程度のものを公表するなど、「原則」の趣旨を自ら咀嚼(そしゃく)、具体的に実践するスタンスが欠如しているような事例が見られた」と指摘し、「顧客本位の業務運営については、経営者が「原則」を自らの経営理念に取り入れ、その実現に向けた戦略を立て、具体的な取組みに結び付けていくことが重要であり、金融庁としては、こうした理念・戦略・取組みが、形式的なものにとどまることなく、営業現場に浸透し、実践されているかなどについて、経営者等と対話を行う」と示している。

保険代理店においても、顧客本位の業務運営の取組方針は単なる宣言にとどまることなく、具体的な取組みに落とし込むことが重要であり(例えば、「お客様のご意向に沿って、適切に商品の提案を行います」と宣言するだけではなく、これを実現するために、意向把握、比較・推奨に関する募集手順の策定、ロープレ研修の実施、顧客対応履歴を検証して提案内容が適切かの確認を行うなどの具体的な取組みに結びつけるなど)、そうした取組みを営業現場で実践させることが求められる。

さらに、金融庁は、「金融事業者リストの今後の公表方法及び取組成果の公表に関する留意事項について」(2019年11月6日公表)において、「原則採択から一定期間経過しても取組成果を未公表の事業者が全体の半数程度であり、「原則」採択の目的化を懸念しております」、「そこで、本年12月時点の取りまとめ時からは、取組方針を公表の上、取組成果(自主的なKPI・共通KPIのいずれか又は両方)を公表している事業者のみ、事業者リストに記載することとさせていただきます」とし、「自主的なKPIの指標を策定し、自主的なKPIを未公表の場合、又は定性的な取組成果のみを公表された場合等、共通KPI以外に定量的な取組成果を公表していない場合には自主的なKPIを公表したと認められません」としている。保険業界では「共通KPI」は設定されていないため、保険代理店は定量的なKPIを自ら設定し公表することが重要となる。

「監査」の重要性

関東財務局アンケートでは、「点検票などを用いて行う定期的な業務の確認」を「点検」、「店舗訪問や実査によって確認を行うもの」を「監査」と分けて定義しているようで、○×の簡単なチェックのような「点検」とは異なり、「監査」では実地調査によって時間をかけて現物資料などを検証することが想定されていると思われる。

「監査」は自律的な態勢整備を行う上で重要であるところ、「監査」まで十分に行っている代理店は少ないと思われ、多くの代理店の課題であると考えられる。

なお、意向把握、比較・推奨の経緯などに関する記録がきちんと取られていないと、募集の適切性を事後検証できないことから、実効性のある「監査」を行うためには、顧客対応履歴を詳細に残すことが重要である点にも留意が必要である。

寄稿
のぞみ総合法律事務所
パートナー弁護士
公認不正検査士(CFE)
日本損害保険代理業協会アドバイザー
吉田 桂公 氏
金融庁出向の経験を有し、保険代理店などの
コンサルティングを多数手がける。
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AIやOCRなども活用しながら関連契約の特定および修正作業を進める

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【 寄稿 】
のぞみ総合法律事務所
パートナー弁護士
公認不正検査士(CFE)
日本損害保険代理業協会アドバイザー

吉田 桂公 氏

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