2022年4月全面施行の改正個人情報保護法でニーズが高まる「オンライン開示請求」を解説


【PR】私たちは日々、様々な商品・サービスを利用しながら日常生活を過ごしています。その中には、氏名や住所といった、私たち自身に関する情報を提供することで初めて利用可能になるものも多いと言えます。銀行口座を作る場合は身分証明書等の提示が必須ですし、オンラインサービスの中にはメールアドレスの他に電話番号や生年月日の入力が必須のものもあります。このように提供した自分たちの個人情報が、具体的にどのように扱われているのかをサービス提供サイドに確認する手段が「開示請求権」です。こちらは個人情報保護法にて定義されている権利で、後述するように、2022年4月の改正法施行に併せて「電磁的記録の提供による方法」が明確に示されることになりました。具体的に生活者にはどのような影響があり、またサービス提供事業者としては何を意識すべきなのか。日本で唯一のKYCの専門会社であるTRUSTDOCKが詳しく解説します。

目次

開示請求権に関わる2022年4月施行「改正個人情報保護法」のあらまし

この法第33条(改正前の第28条)にある開示請求権については、2022年4月の改正個人情報保護法の全面施行に併せて大きな動きがありました。冒頭に示した「電磁的記録の提供による方法」の明確な提示です。以下が、改正前後の開示請求権の文言の比較で、太字部分が追記されることになります。

[改正前]
第二十八条 本人は、個人情報取扱事業者に対し、当該本人が識別される保有個人データの開示を請求することができる。

[改正後]
第三十三条 本人は、個人情報取扱事業者に対し、当該本人が識別される保有個人データの電磁的記録の提供による方法その他の個人情報保護委員会規則で定める方法による開示を請求することができる。

これまで、個人情報の開示請求については、一般的に紙文書での申請がなされていました。法律の条文やガイドライン等を見ても、開示方法は「メール等」と書かれているにとどまり、オンラインによる対応が可能か判然とせず、結局のところ紙と郵送による運用が基本になっていたのです。

これに対して、世の中の圧倒的なトレンドは「デジタル化」です。特に2020年以降のコロナ禍によって、非対面によるニューノーマル対応が強く求められる流れも相まって、サービスのオンライン化はますます加速することが想定されます。

サービスがオンライン化しても開示請求手続きだけが紙運用で行われるとなると、事業者と消費者の双方にとって大きな負担となり、結果として制度そのものが非常に使いにくいものとなってしまいます。また、そもそものデータ内容について、動画や音声データなどといった書面が適さないデータも、これから増えていくことが想定されます。

このような背景を踏まえて、本人が指示することのできる開示方法に「電磁的記録の提供」が追記されることになりました。もちろんこれまでも、厳密には電子データによる提供「も」可能であったと言えますが、今回の法改正により、本人が求めることのできる開示方法として「電磁的記録の提供による方法」が明確に示されたことは、社会のデジタル化・オンライン化が進む中で妥当な改正内容と言えるでしょう。

また、法第33条2項には、以下のような内容が定められています。

2 個人情報取扱事業者は、前項の規定による請求を受けたときは、本人に対し、同項の規定により当該本人が請求した方法(当該方法による開示に多額の費用を要する場合その他の当該方法による開示が困難である場合にあっては、書面の交付による方法)により、遅滞なく、当該保有個人データを開示しなければならない。ただし、開示することにより次の各号のいずれかに該当する場合は、その全部又は一部を開示しないことができる。

改正前は太字部分が「政令で定める方法」となっている

このことからもお分かりのとおり、サービス提供事業者は原則として本人が希望する方法によって開示する義務を負うからこそ、開示請求のデジタル化へと迅速に対応できる体制・システムを構築する必要があります。

上井 伸介 氏
寄稿
株式会社TRUSTDOCK
Verification事業部 セールスマネージャー
上井 伸介 氏
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