- 「ひろぎんホールディングスにおける
DX・異業種連携を通じた地域課題解決への取組みについて」
株式会社ひろぎんホールディングス 石原 和幸 氏 - 「データ活用で地方金融機関を変える!キーエンス流データ活用術」
株式会社キーエンス 水上 拓也 氏/齋藤 亜蘭 氏/柘植 朋紘 氏 - 「営業デジタル武装~成功事例とそれを支えるSAS AIテクノロジ~」
SAS Institute Japan株式会社 村上 洋平 氏 - 「DX時代のデータ基盤の”あるべき姿”について」
Denodo Technologies株式会社 平井 孝典 氏 - 「「肥後銀行DX計画」の策定と、今後のDXの取組みについて」
株式会社肥後銀行 高田 賢治 氏 - 【ご紹介動画】Veeam Software
「ひろぎんホールディングスにおけるDX・異業種連携を通じた
地域課題解決への取組みについて」
- 基調講演
【講演者】
- 株式会社ひろぎんホールディングス
デジタルイノベーション部
デジタル戦略グループ デジタル戦略室 室長
兼 広島銀行 総合企画部 担当部長
石原 和幸 氏<当社の概要>
当社は全国の地銀に先駆け、合従連衡の伴わない持株会社体制に移行した。多様化・複雑化・高度化するお客様ニーズを把握するとともに、非金融分野を含め、あらゆる課題の解決に取り組むためだ。様々な業務軸を増やす取り組みを行っており、金融を中心としてお客様のあらゆるニーズに対応できる「地域総合サービスグループ」となることを目指している。当ホールディングスの子会社として、広島銀行などの金融子会社と非金融子会社が存在する。我々デジタルイノベーション部はホールディングスに所属しており、グループ各社のDXを全て見ていく立場だ。
当社のDXへの取り組みは2016年、広島銀行の総合企画部における「新事業開発推進室」の新設から始まった。その後スマホアプリ機能の統合、キャッシュレス決済機能の融合などを経た後、アプリ・キャッシュレスやデータ分析機能を事業部門へ移管した。デジタル戦略グループの体制に関しては、ホールディングスの社長が当部の部長を兼務しているのが特徴だ。組織内で迅速な意思決定がされ、当部の取り組みが全組織に浸透するような体制となっている。
<ひろぎんホールディングスのデジタル戦略>
DXで実現する姿として、各ステークホルダーとの約束を定めている。地域社会に対しては、蓄積したDX知見の積極的な還元、お客様にはデジタルならではのスピード感や分析容易性を生かし、顧客体験の向上を感じていただくことだ。株主・投資家へはDXの取り組みによる企業価値の向上を図り、当グループの先進的な取り組みの積極的な開示・対話を行う。従事者には多様な働き方の実現と仕事の質向上により、仕事へのやりがいと意欲や誇りを持ってもらい、エンゲージメント向上へつなげる。
DXの対応領域は3つあり、まずデジタルイノベーションは新規ビジネス創出と位置付けている。2つ目はデジタライゼーションで、デジタルを活用した既存業務・プロセスの変革であり、「攻めのデジタル化」の位置づけだ。3つ目はデジタイゼーションで、既存業務のIT化(コスト削減・効率化)であり、位置づけは「守りのデジタル化」だ。このような対応領域を定め、あらゆる施策へDXを活用していくよう社内で合意形成を図っている。
DX実現に向けた戦略指標として、中期計画期間中のKPIを定めている。DX取り組み状況の全体的な向上、DX推進体制の整備、全社的ITリテラシーの底上げの3つの点についてそれぞれ目標を設定している。
< DXへの取り組みの基礎となる基盤整備>
基盤整備の1つ目は、DX推進・ガバナンス体制の整備だ。DX委員会や専門部会を設置し、DX案件の採否に関する一定程度の権限を持たせる。この枠組みにより、様々な投資やチャレンジが行えるような体制にしていく。グループ各社や事業部門は「推進主体」であり、実際にDX案件の企画を委員会や専門部会に上げる役割を担う。営業現場はお客様や地域社会のニーズを把握し、事業部門と連携する役割だ。
2つ目の基盤整備はDX人材定義で、部門ごとにどのようなDX人材が必要かを整理したものだ。DX人材とは当部だけの問題ではなく、各社事業部門にDX人材が存在するのがあるべき姿だ。例えば各社事業部門の役割機能はDX創出・運営であり、DX推進人材が求められ、スキル要件のイメージはビジネス力やDXへの理解だ。営業現場の役割機能はニーズ把握やフィードバックで、DX基礎人材となることが求められる。このように、DXについては全員が参画する体制だ。
基盤整備の3つ目はデータ分析システムの導入で、IBM様のCloud Pak for Dataを採用している。あらゆるデータの活用、分析ニーズに対応可能な、End-to-Endのチーム共創プラットフォームだ。
4つ目の基盤整備がデータ利活用の高度化であり、2~3年前からリソースをつぎ込んで推進している。高度データ分析運営体制として、当部とHDグループ営業戦略部が連携してデータ分析の実務を行っている。
<DXを活用した施策1 デジタルイノベーション>
デジタルイノベーション関連の施策の1つ目は「給与スピード受取&安心借入サービス(仮称)」だ。給与前払いとローンを組み合わせたサービスで、アライアンス先と一緒に準備している。給料スピード受取機能とは、給料日よりも前に勤務実績分の給料を受取れる機能だ。勤務した実績分の給料しか受取ることはできないため、前払いとは異なる。「働きたい」と「働いて欲しい」をつなげること、また「安心して生活したい」と「安心して生活して欲しい」をつなげることがコンセプトだ。
2つ目は「事業継承サポートサービス」で、比較的小規模な事業者様はなかなか事業継承サービスが行き届かないという背景がある。そこをWEBで解決できないかと取り組んでいる。約1年間のお客様向けサービス実証を踏まえ、現在ビジネスモデルの詳細を検討中だ。
<DXを活用した施策2 デジタライゼーション>
「事業者向けポータルサイト」は一般的な法人向けの事業者サービスで、取引照会・ビジネスポータルローン・電子交付サービスの3つのサービスがある。ビジネスポータルローンは申込から契約までをオンライン上で完結できる融資だ。
「ひろぎんBill powered by Money Forward Kessai」は売掛保証・請求代行サービスで、マネーフォワードケッサイ様と連携したサービスだ。また株式会社ライトアップと連携しているのがオンライン補助金・助成金診断サービスだ。当グループの非金融系子会社である「ひろぎんITソリューションズ」の機能を使って、業界特化型のSaaSを提供する取り組みも行っている。製造業、建設業、医療、小売業・卸売業といった業界のお客様と提携・契約させていただいている。
動画コンテンツ制作の内製化に関しては、地域総合サービスグループ化による商品・サービスの多様化、デジタルサービス増加によるサービスの複雑化・高度化、チャネルのWeb化を背景に、動画活用ニーズが高まっている。しかし当社には動画制作ノウハウがなく、制作は広告代理店様などの外注中心でコストが高いため活用は進まず、お客様へのご案内はチラシが引き続き中心となっている。低コストで動画をどんどん制作していくため、動画クラウドサービス提供事業者との連携による内製化プロジェクトを開始した。STEP1は動画活用の有効性の検証とノウハウの獲得、STEP2は内製化体制・運営スキーム構築、STEP3は動画活用で得たノウハウを活用し当行の法人顧客へ提供する方法の検討だ。現在はSTEP2の途中まで進捗している。一定数、我々の部署で実際に動画をいくつか作り始めている状況だ。
その他の取り組みをいくつか簡単にご紹介すると、アプリとしては「ひろぎんアプリ」や「こいペイ」などを展開している。AIボイスボットの導入では、バリューワンカードの解約受付を自動化して効率化を図っている。ITデジタル人材採用コースは2022年4月よりスタートした、人事部門と連携の上、デジタルイノベーション部が主体的に行っている採用活動だ。インターンシップや広島大学(情報科学部)での講義を通じ、これまで接点の少なかった情報・理工学部の学生との接点拡大を図っている。
<さいごに>
本日の話しは「我々はこんなに進んでいる」ことをアピールするものではなく、協業の可能性を広げていきたいため説明させていただいた。今回の話しで少しでもご関心を持っていただいた方とは、意見交換など進めていければと考えている。ひろぎんホールディングス・デジタルイノベーション部または広島銀行・総合企画部までご連絡いただきたい。
- 株式会社ひろぎんホールディングス