「データ分析と製造業ノウハウを活用した新ビジネスへの取り組み」
- 【講演者】
- アルテアエンジニアリング株式会社
データアナリティクス事業部
アカウントマネージャー
片山 健太郎 氏
<当社の概要>
アルテアエンジニアリングは1985年に米国ミシガン州で設立され、25カ国86拠点でグローバル展開をしている。ミシガン州にはデトロイトがあり、当初から自動車業界向けの製造ソリューションを提供してきた。日本法人も1996年に開始と、すでに25年以上の歴史がある。3,000を超えるスペシャリスト、11,000を超える製品導入企業、150を超える取り扱い製品数があり、幅広く事業展開をしている。
当社のビジョンはシミュレーション/HPC/AIを融合し、活用することにより、お客様の意思決定を支援することとしている。自動車の衝突シミュレーションや航空機の最適化シミュレーションが当社のコア事業だ。HPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)に関しては、理化学研究所様の「富岳」を用いたプロジェクトも実施している。データ分析/AIでは、プログラミング無しで誰でも機械学習のモデルを構築することが可能だ。
<金融業務の高度化>
金融業務の高度化を実現するには3つの要素が必要で、業務・オペレーションの効率化、データサイエンスの民主化、他業界のナレッジ活用だ。単に分析ツールを活用するだけでは高度化は実現できず、効率的なデータの前処理を行わないと分析業務はなかなか推進できない。また分析スキルだけでなく他業界のナレッジも活用することで、金融業界の高度化を実現できると考えている。3つの要素に関しては様々な課題があるが、データ処理・分析を誰でも簡単にできるAltairソリューションで、これらの課題を解決できる。
<業務・オペレーションの課題解決>
1つ目の要素である業務・オペレーションの効率化を推進するうえで、ツールの習得の難しさ、重複や欠損値などのエラー修正といった手作業の多さなどさまざまな課題が点在している。Altair Monarchであればマウス操作だけで誰でも簡単に操作でき、加工や集計も効率的に実現できる。
<Altair Monarchとは>
Altair Monarchには2つの領域があり、1つ目は個人業務の効率化だ。これまで個人で行っていた集計や加工処理などのタスクについて、デスクトップ上での自動化を実現するための製品が「Monarch Complete」だ。2つ目の領域は部門の業務の効率化で、「Monarch Server」で対応できる。チームや部門といった組織全体の業務の一括自動化を実現可能だ。
Altair Monarchはネットワークに存在する様々なデータを簡単に抽出することができる。抽出してきたデータをクレンジング・加工・集計し、CSVファイルのような形式で出力することも可能だ。すでに社内にあるBIツールやサブシステムと連携することもできる。
Altair Monarchにおけるデータ前処理プロセスは非常にシンプルな形になっている。プロセスに沿って進めていくだけでデータを処理・加工していくことができる。データベースを取得し、確認したうえで必要なデータを選択したりテーブルインポートを行ったりして、データクレンジングを行い、必要であればデータの結合・統合やテーブル追加を行う。この処理プロセスを他のメンバーに共有したり、自分だけカスタマイズして流用したりすることも可能だ。一度プロセスを作成すれば、元データが変わっても同じ処理プロセスを自動で実行するため、週次や月次といった定型処理にも活用できる。
<Altair Monarch による効率的なデータ処理>
Altair Monarchでは作業履歴がすべて保存され、いつでも作業途中ファイルの閲覧や管理ができる。各段階でのファイル保存や使用、処理前の状態確認ができる。履歴があることで、処理の修正、処理順番の変更、処理の削除が可能となり、後からどのような処理を実施したのか容易に把握できる。あるお客様は作業履歴を監査への対応や、仕様書や引継ぎ資料として活用されている。
Altair Monarchではデータベースに入っているような構造化データ以外も処理ができる。PDFファイルのようなデータも「AUTO DEFINE(自動定義)」というボタンをクリックするだけで、データの自動認識・取得を実行し、CSVファイルのような構造化データへの変換が可能だ。手作業で行っていたことを自動化でき、ヒューマンエラーの排除も同時に実現する。
<導入事例>
金融機関における活用領域や事例としては、データ変換の自動化、照合(消込)プロセスの改善、不正の検知精度向上、レポート作成の効率化などがある。MasterCard社様では消込確認を13名のメンバーによる手作業で毎週40~80時間かけて行っていたが、Monarchによってデータ抽出から消込まで自動化することで、大幅な工数削減に成功した。本来の分析業務を行う余力が増え、カスタマーエクスペリエンスの向上に繋がった。
<データサイエンスの民主化>
データサイエンスの民主化に対して、データサイエンス知識の習得や学習に時間がかかる、各従業員のスキルセットがバラバラ、すでに保有する言語の資産の活用ができないといった課題がある。そこでAltair Knowledge Studioを活用することで、プログラミング言語や専門知識を必要とせずに、機械学習や予測分析のモデルをスピーディーに活用することが可能だ。
< Altair Knowledge Studio とは>
アイコンベースのUIをマウス操作するだけで誰でも簡単に機械学習や予測分析のモデルを構築できるプラットフォームだ。搭載されている機械学習アルゴリズムも幅広くラインアップされている。RやPythonなどのコードを組み込むこともできるため、すでにお客様で保有している資産も有効活用可能だ。「Auto ML(自動化された機械学習)」という機能があり、データ準備、モデル評価や選択といった面倒な工程も自動化することができる。
<活用事例>
法人の財務体質の分析で、預金額や借入金などのデータを使ってクラスタリングして分析できる。決定木を作成し、どのような要因でグループに分かれていくのかを把握することで、各グループに相応しいアクションを見出すことが可能だ。イギリス国内のATM不正取引の見える化と予測に活用された実績もある。リアルタイムでATM不正利用予測を検知するダッシュボードを構築し、どの場所・どのATMで不正が行われたかを把握できる。
<他業界のナレッジ活用>
当社は豊富な製造業ノウハウを活用することで、新規ビジネスの創出や人材育成のご支援も可能だ。各種カスタマイズ対応やグローバルでの専門家の知見の活用により、様々なナレッジ活用の課題を解決する。新規ビジネス創出のご支援については、特に国内で1番大きな産業である製造業のノウハウが必要だ。データ分析に製造業のノウハウも加えることで新規ビジネスをサポートする。
人材育成に関しては、まず脱プログラミングで、挫折して諦めてしまった方々の補完を行う。その後新規ビジネスへの取り組みのために製造業のノウハウを吸収していただく。その次のStepとしてデータ分析スキルと製造業ノウハウを生かし、新規ビジネスの創出のアイデア出しや実践を行うという流れだ。
<共同プロジェクト支援>
お客様のご要望に合わせたご提案とプロジェクトを実施し、実運用のための技術移管や人的サポートを行う。グローバルで3,000人以上の専門家がいるため、幅広いプロジェクトに参画可能だ。プロジェクトの具体例として、損害保険会社だけが保有する貴重なデータ、事故/災害データ、被害の程度データなどの利活用がある。分析結果を活用したサービスを提供することで、保険支払いリスクの低減と社会貢献に繋がった。ドローンによる様々なサービスにおける安全性検証もご支援することができ、ドローンの飛行試験を仮想空間で実現する。
◆講演企業情報
アルテアエンジニアリング株式会社:https://www.altairjp.co.jp/