2022年5月19日(木)開催 INSURANCE WEBINAR「ライフスタイルの変容と保険チャネルの強化」<アフターレポート>


2022年5月19日(木)セミナーインフォ主催 INSURANCE WEBINAR「ライフスタイルの変容と保険チャネルの強化」が開催された。PCやスマートフォン、タブレット端末など、様々なデジタル機器の浸透により、チャネルが多様化したことにより、保険業界は大きな変貌を遂げた。従来までに比べ、顧客に対するアプローチ方法が高度化しており、今まで以上にスピード感と柔軟性・多様性が重視されている。本ウェビナーでは基調講演としてライフネット生命保険株式会社、特別講演としてアニコム ホールディングス株式会社にデジタルを活用したチャネルを最適化する取り組み事例をご紹介いただくほか、各先進企業より最新技術をご紹介いただいた。

目次

「Salesforceで実現する両利きの保険チャネル」

東山 勇介 氏
【講演者】
株式会社セールスフォース・ジャパン
インダストリーズトランスフォーメーション事業本部
ディレクター 保険業界担当
東山 勇介 氏

<はじめに>

本セッションでは、「Salesforceで実現する両利きの保険チャネル」と題し、保険業界における顧客ライフスタイルの変容、それに伴う今後の業界のあり方についてお話しできればと考えている。当社 Salesforce は、クラウドベースのCRMを提供するSaaS企業である。コアビジネスであるCRM分野では8年連続世界ナンバーワンのシェアを獲得し、国内企業を含む多数の企業にご採用いただいている。今後も日本の保険業界のみなさまの後方支援にコミットさせていただければ幸いだ。

<ライフスタイルの変容と保険加入チャネルの変容>

新型コロナウイルスによるパンデミックをきっかけに、保険に関わる人々のライフスタイルは大きく変化した。保険会社では社員の間に在宅勤務が広がり、顧客とのコミュニケーションもオンライン化・ペーパーレス化が進んだ。さらに、従来物理的なものだった生活のつながりが、今はデジタルのつながりに置き換わっている。「ニューノーマル」という言葉が一時期盛んに叫ばれたが、もう2年以上このような状況が続いている。「ニューノーマル」はもはや我々にとっては日常となった。しかも多くの人々が、今後もオンラインの接点を中心にした今の状況が続くだろうと考えている。こうした人々のライフスタイルの変化は、保険の加入チャネルにもデジタル化の波をもたらした。ここでは、アメリカでの調査結果をもとに、顧客の保険加入意向、ダイレクトチャネルへの投資、マーケットの変化という3つの視点から、パンデミックがもたらした保険業界における変化を捉えてみたいと思う。

まず、顧客の保険加入意向についてである。パンデミック後、約9割の個人客が保険にオンラインで加入することに前向きな姿勢を示しているというデータがある。さらに、保険会社の方でも、オンラインに目を向ける動きが見られる。DtoC、ダイレクトチャネルへの投資が増えているのだ。実際、64%のグローバルの保険会社の経営幹部が、ダイレクトチャネルの採用意向を示しているという調査結果もある。加えて、最近ではマーケットの方にも変化が見られる。中小企業向けの保険も含め、ダイレクトチャネルのビジネス規模が拡大するという予測データがあるのだ。実際、日本の保険販売においてもダイレクトチャネル、ネット申し込みを希望する顧客が増えつつある。

<それでも人を介した募集はなくならない>

ダイレクトチャネルが躍進する中、従来の人を介した募集チャネルは今後どうなるのだろうか。それについてはさまざまな意見がありうるところだが、当社としては「それでも人を介した募集はなくならない」と考えている。デジタル化についてはさまざまなポジティブな内容の調査結果がある。が、一方で「人を介したチャネルはこれからも重要だ」と考えている保険会社の経営幹部も7割を超える。つまり、デジタルチャネルの重要性を指摘する人以上に、人を介したチャネルを重視する人がいるということだ。

上記のデータはアメリカのものになるが、実は日本でも興味深いデータがある。ネットでの加入申し込み意向のある顧客が17%超いたにもかかわらず、実際に保険にネットで申し込んだ人はわずか4%しかいなかったのである。ネットでの加入申し込み意向のある顧客の大半は結局、代理店や営業職員といった人を介したチャネルで保険に加入していたのだ。

<両利きの保険チャネル>

ダイレクトチャネルと従来の人を介したチャネルの間で、保険会社としてはどのような戦略をとるべきなのだろうか。ダイレクトチャネルと人を介したチャネル、どちらを重視するべきか。これも人によって結論はわかれうるところだろう。

一方、当社の持論は「そもそも、どちらか一方を選ぶべきではない」というものだ。今後増大するダイレクトチャネルのニーズには応える必要もあろうが、人を介したチャネルがなくなることはない。どちらも重要なチャネルである。だからこそ、従来の人を介したチャネルとダイレクトチャネルを二項対立で捉えること自体が適切ではない。むしろ、これから本当に保険会社に求められるものは、「両利きの保険チャネル」だ。従来のチャネルをデジタル化で強化しつつ、デジタルを活用してダイレクトチャネルのニーズにも応える。こうした「両利きの保険チャネル」こそが今後の保険会社にとって必要なものなのだ。

<Salesforceの保険会社向けソリューション>

「両利きの保険チャネル」実現のためには、デジタルチャネルのニーズへの対応と人を介したチャネルの強化を同時に行うことが求められる。それを可能にするのが、弊社の保険会社向けソリューションであるFinancial Services Cloud(FSC)である。弊社のソリューションは、すべてカスタマー360というコンセプトにもとづいて設計されている。CRM領域にとどまらず、クライアントのあらゆる業務を支援できるようにソリューションの拡充を進めている。当社のソリューションの中でもFSCは金融業界に特化したデジタルプラットフォームである。このソリューションを利用して、どのような価値をクライアント企業に提供できるのか。以下、順番にご紹介できればと思う。

<デジタル化による人を介したチャネルの強化>

1つは、人を介したチャネルをデジタル化によって強化することである。従来の人を介したチャネルをどのように強化していくかという話については、オムニチャネルで募集人とつながること、データとAIを活用してインサイトを得ること、シンプルでエラーのない業務プロセスを実現することの3点が大事だと考えている。実際の保険会社の事例では、これまで属人的なものだった顧客情報をSalesforceに集約した上で、データをもとに顧客一人ひとりに最適な提案を行う、顧客とのコミュニケーションを自動化するといった施策が行われた。そうして業務の効率化が進んだ結果、社員にゆとりが生まれ、各社員が人にしかできない作業、すなわち丁寧なコミュニケーションを通じてお客様への価値提供を行う作業に集中できるようになるという成果が生まれた。人を介したチャネルがデジタルで強化できるという好例である。

<ダイレクトチャネルへの対応>

次に、ダイレクトチャネルへの対応についてである。Salesforce Industries for Insurance(SFI)がFSCのアドオン機能のような形で加わったことで、これまでSalesforce上ではできなかった保険のコア業務をCRM上で行えるようになった。SFIはノーコードで使える商品開発プラットフォームをはじめ、ダイレクトチャネルで求められる機能を備えたツールである。このツールの特徴は商品の設計から実装までを短期間で行うことができる上に、各種マーケティングツールと組み合わせて顧客のカスタマージャーニーをトータルでサポートできる点だ。保険のコア業務にとどまらず、カスタマージャーニー全体をデジタルでサポートでき、ダイレクトチャネルをトータルで支援することが可能になる。現在は海外での導入が先行して進んでいる状況だ。

<まとめ>

ダイレクトチャネルの重要性が増す一方、従来の人を介したチャネルの重要性には変わりがない。「両利きの保険チャネル」実現のために、当社はこれからも日本の保険業界のみなさまのためにコミットしていきたいと考えている。ダイレクトチャネルのサポートはもちろん、オムニチャネルなどによる従来のチャネルの強化といった支援を行い、保険業界の未来に貢献を続けていく。

◆講演企業情報
株式会社セールスフォース・ジャパン:https://www.salesforce.com/jp/

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