「保険システムの課題の9割を解決する。
今日覚えるモノシリックとマイクロサービスの知られていない深い溝」
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【講演者】
- eBaoTech Japan株式会社
代表取締役
河上 勝 氏<はじめに>
今回は世界では常識化しつつあるのに、日本でいまだ知られていないものであるモノシリックとマイクロサービスについてお話しできればと考えている。モノシリックとは一枚岩という意味で、既存のパッケージソフトに代表されるアプリケーションを指す。アプリケーションそのものが1つの大きなモジュールになっているのが特徴だ。
一方、マイクロサービスは、あらかじめ用意された部品を組み合わせて必要なアプリケーションを開発するための仕組みだ。Amazonをはじめとする多数のデジタルに強い企業が、すでにマイクロサービスのシステムを取り入れている。モノシリックとマイクロサービスの間には、たとえるならばガラケーとスマホくらいの違いがある。ガラケーもスマホもメールや通話もできるし、ニュースも見られる。しかし、両者の機能面には決定的な違いが存在することはみなさまにもご同意いただけるだろうと思う。それと似たような違いが、モノシリックとマイクロサービスには存在するのだ。当社のInsureMOは、マイクロサービスを利用したソリューションであり、すでに世界で300サイト、200社以上の保険会社で使われている。のみならず、InsureTech企業にも当社のプラットフォームは採用されている。日本国内については、NTTデータと提携して展開を行っている。
<モノシリックとマイクロサービスの深い壁>
パッケージアプリケーションのほとんどはモノシリックであり、変化への柔軟性を欠いている。全体が1つの大きなモジュールになっていて、分離も分解もできないからだ。カスタマイズには不向きであり、エンドユーザーはたとえ不便さに不満を抱いたとしても、今あるアプリケーションを使い続ける必要がある。
一方、今はノーコードアプリケーションというものも流行っている。簡単に使えるのがノーコードアプリケーションの強みだが、それにも問題がないわけではない。作れるものが限られているからだ。モノシリックと同様に中身は1つのモジュールでできているので、カスタマイズには不向きである。しかし、マイクロサービスは違う。マイクロサービスは変更・追加することを前提に作られていて、必要な部品を組み合わせることで簡単にカスタマイズを行うことができる。
<モノシリックアプリケーションの問題点>
マイクロサービスと比較するため、ここではモノシリックアプリケーションの問題点について、さらに深堀りしてみよう。システムの開発や仕様変更などに際して、「何らかのトラブルが起きたことがある」という経験のある方は少なくないのではないだろうか。こうしたトラブルの多くは、実はモノシリックの特性に起因するものだ。モノシリックとして作られたシステムは複雑で、さまざまなパーツが相互に依存しながら動いている。そして、これらの特性・全体像を把握できている人はそう多くはない。その結果、簡単な仕様変更であっても作業量が膨大になるし、何かトラブルが起きたときにも原因究明に時間がかかる。
実は現在、多くの企業が提案を受けているシステムは、ほとんどがモノシリックである。だからこそ定期的に仕様変更が起こるし、さらにはカスタマイズのたびに時間やお金がかかることになるのだ。モノリシックアプリケーションにおける一番の問題点は、変更しにくいシステムをわざわざ時間と手間をかけて変更しているという事実である。ある企業が数ヶ月をかけてモノシリックアプリケーションの小さな仕様変更に対応している間、IT先進企業であるAmazonはマイクロサービスを使って13万本以上の本番稼働を可能にしている。
まさに、これがモノシリックとマイクロサービスの違いである。いわば、やりたいと思ったことを今日できる状態と、数ヶ月後にできるかもしれない状態の違いといえるだろう。どちらが望ましいかはいうまでもない。モノシリックはその特性から使えば使うほど複雑になり、変更がしにくくなってしまう。一方、マイクロサービスは変更が前提で作られており、いつでも変更が可能である。モノシリックとマイクロサービスとでは、新開発や変更のスピードに10倍~100倍程度の差があることがわかっている。このことがIT先進企業と後進企業との間に、競争力などの点で大きな差をもたらすことは明らかだ。さらに、障害の発生率についても、モノシリックの方がマイクロサービスより多いというデータがある。
<顧客とのタッチポイントを増やすには>
モノシリックとマイクロサービスの違いについての説明を終えたところで、「ライフスタイルの変容と保険チャネルの強化」という今回のセミナーのテーマに切り込むことにしよう。顧客接点の創出は、保険会社にとっては重要な課題である。そして、今、顧客とのタッチポイントはデジタルの場、具体的にはオンライン上に存在するサイトやコミュニティへと移りつつある。このような状況下で、マイクロサービスアプリケーションの存在感は増しつつある。
なぜデジタルの先進企業がマイクロサービスアプリケーションを使用しているかというと、デジタルの入り口を通じて保険商品を含むあらゆる商品がいつでもどこでも買える時代が来たからだ。このような状況で保険商品を販売するにあたっては、保険会社が用意したハードで売るだけでは足りない。より多くの顧客を集めるためには、見込み客となりそうな人間が自然と集まるサイトやコミュニティに商品を置いてもらうことが重要となる。そこで求められるのが、こうしたオンライン上のタッチポイントにつながるためのAPIである。当社のクライアントは人の集まるサイトやコミュニティにつながるAPIをたくさん用意して、顧客とのタッチポイントを増やし、顧客が商品を申し込みにくるのを待っている。そして、それを可能にするのが、作りたいものをすぐに準備できるマイクロサービスアプリケーションなのだ。
<InsureMOというソリューション>
サイトやコミュニティといった人の集まるデジタルの入り口は無数に存在する。このような状況では、特定の場につなげるためにいちいちAPIを構築しているようでは間に合わない。そこで求められるのが、簡単にAPIの準備を可能にするマイクロサービスタイプのソリューションである。当社が提供するInsureMOはまさに、このタイプのソリューションだ。
InsureMOは、ノーコードの商品設定とマイクロサービスによるアプリケーション開発を可能にするマイクロサービスタイプのソリューションであり、高度なツールによってデジタル保険ソリューションを容易に作成可能にするPaaSである。パッケージタイプのアプリケーションとは違い、必要な部品をレゴブロックのように組み合わせて簡単に好みのアプリケーションを作成することができる。100、200といったデジタルサイトにつながるシステムを簡単に、素早く構築することも可能だ。特定のサービスのために、新しくシステムを構築する必要はない。あるサイトに保険商品を置こうと考えてから、1~2週間程度で実際に販売する段階まで至ることも可能だ。InsureMOの「M」はミドルオフィスの「M」である。現行のシステムと置き換える必要はない。APIを使って、顧客につながるお手伝いをさせてもらう。それが、顧客接点創出におけるInsureMOの役割である。
<まとめ>
今回はInsureMOを中心として、さまざまな課題を解決できるソリューションを紹介してきた。これからも製品を通して、保険業界のみなさまのお手伝いをできれば幸いだ。
◆講演企業情報
eBaoTech Japan株式会社:https://www.ebaotech.com/jp - eBaoTech Japan株式会社