1. HOME
  2. 事業戦略
  3. ドラッカー ~5つの質問~【第4回】顧客の価値は何か

ドラッカー ~5つの質問~【第4回】顧客の価値は何か

顧客の価値を知ることにこそ、商品やサービスを生み出すヒントがあるという。あなたの顧客は何を望んでいるのだろうか。本稿は、ドラッカー専門コンサルタントの山下淳一郎氏の説明のもと、ドラッカーの5つの質問を通してマネジメントを読み解く、全6回の連載の第4回目。選ばれる企業となるために忘れてはならない「顧客の価値」に焦点を当てる。

ドラッカー ~5つの質問~【第4回】顧客の価値は何か
  1. 第三の問い 顧客の価値は何か
  2. 顧客と市場を知っているのはただ一人、顧客本人
  3. お客様が望んでいることに向き合い続ける
  4. まだ「お客様になっていないお客様」を見る
  5. 「顧客の価値」を知るための問い

第三の問い 顧客の価値は何か

対象とするお客様が決まったら、次に行うことは、「お客様が望んでいるものを知ること」です。お客様が望んでいるものを知るために具体的な仕事の進め方を教えてくれているのが、ドラッカー5つの質問「第三の問い 顧客の価値は何か」です。

前回、誰をお客様の対象とするかを明らかにする重要性をお伝えいたしました。対象とするお客様を決めるということは、事業を提供する側の勝手です。対象とするお客様を決めたからといって事業が成功するわけではありません。対象とするお客様から選んでいただいてはじめて事業は事業として成り立ちます。

では、対象とするお客様から選ばれるためにどうすればいいのでしょうか。まずは、お客様が望んでいること知り尽くすということです。

お客様を知り尽してはじめて、自分たちは何をどのように仕事を進めていけばいいのかがわかり、何をどのようすれば喜んでいただけるのか、がわかるからです。こうしてはじめて、自分たちが対象とするお客様から選んでいただけるようになります。

顧客と市場を知っているのはただ一人、顧客本人

顧客と市場を知っているのはただ一人、顧客本人

お客様が求めているものを知り尽くすためにどうすればいいのでしょか。ドラッカーはこう言っています。

顧客と市場を知っているのはただ一人、顧客本人である。したがって顧客に聞き、顧客を見、顧客の行動を理解して、はじめて、顧客とは誰であり、何を行い、いかに買い、いかに使い、何を期待し、何に価値を見いだしているかを知ることができる」。

ディズニーランドを運営するオリエンタルランドは、ディズニーランドを開業して31年間、1日たりとも欠かさずに園内のお客様にインタビューをしているそうです。まさに、それは顧客から学んでいる姿です。お客様が求めているものを、勝手に憶測せずに、お客様に聞き、お客様を見て、お客様の行動を理解する取り組みを欠かさず続けていってください。

お客様が望んでいることに向き合い続ける

お客様が望んでいることに向き合い続ける

一方、その事業に携わり、その仕事に精通すればするほど見えなくなるものがあります。それは、【第3回】われわれの顧客は誰かでお伝えした、「お客様が望んでいること」です。

お客様が求めているものは、つい品質だろう、と考えてしまいます。気が付くと、売り手の勝手に陥ってしまいがちです。

お客様が手に入れているものは、商品やサービスそのものではなく、商品やサービスを通して得られる「欲求の充足」です。商品やサービスはお客様のニーズを満たすための橋渡しに過ぎません。

商品やサービスが価値となって現れるのは、お客様のところです。商品やサービスを価値あるものに変えてくれるのは、唯一、お客様だけです。

お客様の求めているものが明確になるまで、商品開発をスタートさせない、お客様が求めていないような商品やサービスを作らないことです。

まだ「お客様になっていないお客様」を見る

まだ「お客様になっていないお客様」を見る

喜んでもらう人を増やすためには、現在のお客様だけでなく、お客様になっていないお客様についても考えていく必要があります。なぜなら、現在のお客様よりも、お客様になっていない人の方が圧倒的に数が多いからです。

事業に影響を及ぼすような大きな変化はお客様になっていないお客様から生まれるのです。お客様になっていないお客様はそれだけ市場に対する影響力が強いのです。だから、しっかりとお客様になっていないお客様へ関心を注がなければならないのです。

経営者の方とお話しさせていただくと、多くの経営者は、お客様についてはすでによく知っているし、毎日考えていると言われます。また、研修やセミナーでお客様のことを学んでいると言われます。しかし、それではお客様について考え抜いているとは言えません。

「顧客の価値」を知るための問い

「顧客の価値」を知るための問い

喜んでもらう人を増やすために、次のような問いに対する答えを創り出してください。

  • お客様は何のために買ってくださっているのか
  • お客様はどんなニーズを満そうとされているのか
  • お客様はわれわれの商品・サービスを買うことで何を手に入れようとしているのか
  • どのような人にお客様になってほしいか
  • そのお客様はどこにいるのか
  • 現実のお客様はどのようなお客様なのか
  • お客様になってほしい人たちから選ばれているか
  • 継続的にお客様になってくれているお客様はどんなお客様なのか
  • なぜお客様になってくれているのか
事業戦略カテゴリのオススメの記事
Brexitは日本の「ウェイクアップコール」経済成長著しい東欧に進出するチャンス

英国は2020年1月31日、EU(欧州連合)を離脱した。Brexit (英国による欧州連合からの離脱)は、日本の経済・金融および企業活動にどのような影響を及ぼすのか。本連載の第1回目は、日本企業の対欧州戦略に関するポイントと今後の英国・EU・日本の関係について、マルティン・シュルツ氏に解説してもらった。

【特別対談】自動車保険のDX最前線~顧客の「面倒だから後回し」の解消へ CX起点による価値創造とコスト低減

デジタル技術で事業変革を促す「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の注目度が、損害保険分野でも高まっている。中でも、自動車保険では、DXを有効活用して業績を伸ばす通販型のネット系保険会社の存在感が増している。CX(カスタマー・エクスペリエンス)を起点とした業績拡大につなげるDX戦略のポイントを、イーデザイン損害保険取締役社長の桑原茂雄氏と、日新火災海上保険顧問の星野明雄氏が語り合った。

地銀は中核ビジネスの貸出収益の向上を

マイナス金利政策により貸出金利の水準は今も低く、地方銀行は苦境に立たされている。厳しい経営環境が続く中、生き残りをかけて再編や異業種との提携が広がる国内の地域金融ビジネスの今後についてY&P法律事務所の細田隆氏に話を伺った。

科学技術の社会実装と産官学のデータ連携構築

国際競争や経済成長のために科学技術の振興は欠かせない。日本の科学技術政策の方針を示す「科学技術基本計画」を主軸に、各省庁による研究開発プロジェクトや成長戦略が数多く実施されている。本連載の初回は、世界に先駆けて提唱した「超スマート社会」を実現する「Society 5.0」などを中心に、産官学で目指す日本の未来の社会について、内閣府に話を聞いた。

山下 淳一郎 氏 【 寄稿 】
トップマネジメント株式会社
ドラッカー専門のコンサルタント

山下 淳一郎 氏

The Finance をフォローする
注目のセミナー すべて表示する