「デジタルと人の温かみを融合した顧客中心のサービスへの変革
~Financeial Services Cloudを活用したパーソナライズ対応の実現~」

 

【講演者】
株式会社セールスフォース・ジャパン
クラウドセールス統括本部 Service Cloud営業本部 Service Cloud第四営業部
Service Cloud担当マネージャー
廣瀬 拓史 氏

<Salesforceのご紹介>

当社は世界でNo.1のCRM企業で、日本拠点においては2022年2月1日付けで社名を「株式会社セールスフォース・ジャパン」へ変更した。今後もより一層お客様に寄り添い、ビジネスの成功へ貢献していく。

当社の提供する製品のコンセプトは「Customer 360」という考え方だ。一元的に集約されたお客様情報を中核とし、営業・マーケティング・ITといった様々な部門が連携し、お客様を深く理解した上で一貫したサービスを提供する。今回はサービス部門の製品であるService Cloudを金融機関向けに機能を特化した「Financial Services Cloud」についてお話しする。

<カスタマーエンゲージメントセンターへの変革>

最近ではカスタマーサービス部門の役割も大きく変化し、問題解決だけではなく、ロイヤリティ醸成の役割も期待されている。お客様を深く理解した信頼できるアドバイザーとして、お客様一人一人に即した対応を取ることが必要だ。ガートナー社の調査では、素晴らしい顧客体験を提供されたら、次回も同じ企業を選ぶと回答した顧客の割合は91%にものぼる。

コンタクトセンターは今後「カスタマーエンゲージメントセンター」への変革が求められると当社は考えている。デジタルの効率性と人の温かみを融合し、顧客中心のサービスに変革することだ。そのためには3点が必要で、全てのチャネルが繋がること、全ての接点を個別化すること、自動化で業務を支援することだ。

前述のCustomer 360では、全ての情報をお客様軸で管理する。保険業界では業務ごとにコンタクトセンターが設けられていることが非常に多く、顧客の応対履歴が個々のセンターにバラバラに管理され、共有されていない。あらゆる情報を一元的に集約・管理し、部門を横断するプラットフォームを提供できるのが、当社のFinancial Services Cloudだ。

<保険会社における取り組み事例>

今回は最新の事例として、米国のプルデンシャル・ファイナンス社の導入事例をご紹介する。新型コロナの影響により、同社のコールセンターは膨大な問い合わせにより一次機能能不全に陥った。しかしながら、SalesforceのFinancial Services Cloudにより、ノンボイスを含むオムニチャネル環境をわずか数週間で実装。オペレーターのトレーニングとスキルアップも支援しながら、対応品質と生産性の向上を実現した。複数アプリを立ち上げて通話応対していたオペレーター業務も、一画面内で対応できるよう改善した。Customer 360でお客様をより深く理解し、より効率的にサポートできるよう変革した。

<デモストーリー①新規獲得>

ここからはコンタクトセンターにおけるFinancial Services Cloudの活用事例について、デモを交えながらご紹介する。1つ目はアウトバウンドコールとToDoの発行だ。オペレーターは出社するとまずダッシュボードで自身の活動を確認し、営業成績などコンタクトセンターの状況を俯瞰してから業務に取り掛かる。アウトバウンドコールのためのリードリストは、画面から簡単に表示できる。

リストから顧客の欄をクリックすると、詳細情報が表示される。Financial Services Cloudではお客様のライフイベント、世帯情報、保険契約といった情報を一元的に集約し、使いやすいように表示することができる。表示内容はお客様が希望するものをカスタマイズすることも可能だ。

顧客のステータスをよく把握した上で架電し、言葉で説明が難しい場面では動画・映像でサポートを行うことも可能だ。Eメールなどでお客様をセッションに招待して映像を見せることができ、オペレーターもお客様の画面を共有した画面を見ることができる。動画・映像によるサポートは、申し込みの際の入力方法の説明等において特に有用だ。対応記録としてToDoを発行し、備忘録やメンバーへのタスク連携に活用できる。

<デモストーリー②既存契約者の問合せ>

2つ目の事例は既存契約者に対する基本的な応対の充実と、AI活用によるパーソナルなご提案だ。サポート担当者向けのダッシュボードでお客様から受電をすると、電話番号を基にお客様情報が表示される。Financial Services Cloud もCTI連携が可能なため、お客様の360°ビューの情報を自動的に表示することが可能だ。問い合わせ内容に関するナレッジが画面の右側に表示され、お客様と対話しながら解決に導くことができる。

オペレーターがナレッジを使っても解決できない場合は、社内のSNSであるChatterを使ってエスカレーションをすることができる。今回はお客様が専門チームと会話をしたいとのことで、いったん電話を切ってチャターで法務チームを指定し、内容を入力して送信する。法務チームはメッセージを確認して、オペレーターに返信をする。オペレーターは案件のステータスをエスカレーションに設定して、その後の状況も把握していく。

問合せのあったお客様のライフイベントを見ると、ご長男が誕生してから5年が経過していることが分かる。また画面左下のAIによるNext Best Actionでは、学資保険の提案を推奨している。お客様からのご連絡に対して、さらなるご提案やメンテナンスに繋げることが可能で、お客様の体験価値向上に繋がる。

なお、お客様の情報にはAI機能による解約リスク予測も表示され、あるお客様の画面例では、解約リスク予測が40%とかなり高めに出ている。これを見たオペレーターは新たな製品の提案ではなく、解約防止のためのアクションを取ることができる。

<サービス部門向けマネージャーダッシュボード>

マネージャー向けのダッシュボードについてもご紹介する。一次対応完了率、平均対応時間、担当者毎のケース状況等、お客様の知りたい指標で構成することが可能だ。ここでチャネル毎のケースにおける、電話についてドリルダウンをしていく。電話のケースは45件あり、その内訳はワンクリックするとリストが表示される。そのうち一番上のCMに関する問合せをクリックすると詳細が表示される。このように問合せの状況をリアルタイムに分析していくことが可能だ。

<Financial Services Cloudのその他の機能>

コールセンター向け画面では、API連携に優れた画面を表示することができ、APIで取得した天候情報や基幹情報を表示することが可能だ。また本人確認では、何を基に確認を行ったのかの履歴を残しておくことができる。こういった機能は年3回のバージョンアップと共にお客様に提供される。

<まとめ>

コンタクトセンターから「カスタマーエンゲージメントセンター」へ、デジタルの効率性と人の温かみを融合した顧客中心のサービスへの変革が求められる。そのためには商品軸からお客様軸への転換、チャネル・部門をシームレスにつなぐお客様対応、パーソナライズされた対応で長期・継続的にお客様と繋がることが必要だ。米国のプルデンシャル・ファイナンス社では、オペレーターを強力に支援する仕組みやAIの活用により、変革が成し遂げられた。Financial Services Cloudが選ばれる理由は主に3つあり、保険業界に特化した機能を有すること、短期間で価値を実現できること、イノベーションを加速できることだ。

◆講演企業情報
株式会社セールスフォース・ジャパン:https://www.salesforce.com/jp/