「顧客接点の効率化と利便性向上
〜チャット・ボイスボットの追加で実現するDXの拡張〜」
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【講演者】
- モビルス株式会社
執行役員
柏原 学 氏
<モビルスのご紹介>
当社はコンタクトセンター向けに、チャットから電話まで広いサポート領域をカバーするソリューションを提供している。コロナ禍でDXがさらなる全社重要課題となる中、「顧客の期待に応えられていない」と回答した企業は4割にも及ぶ。コンタクトセンター業界が抱える課題は、労働人口の減少や労働力の確保で、コロナが落ち着いた際の人手不足に対応するため生産性の向上が必須だ。一方でコンタクトセンターを取り巻くテクノロジーは変化しており、音声からテキストへ、有人から自動へ、対面業務からリモートへ、センターから在宅へという動きがみられる。
当社は「テクノロジーでサポートを新しく。」というミッションを掲げており、サポート領域でお手伝いできることが多数あると考えている。提供しているソリューションは電話・ボイスボットの「MOBI VOICE」やチャットサポートの「MOBI AGENT」等があり、幅広い製品群で顧客サポートの課題解決を支援する。自社ソリューションとお客様の社内にある既存のシステムと連携するため、開発チーム体制を設けている。またソリューションの導入前から導入後までカスタマーサクセスメニューが伴走していく体制も整えている。また我々のソリューションでは足りない部分について、様々なアライアンスで連携して対応しており、今回は連携事例を中心にご紹介する。
当社のお客様の成功事例をご紹介すると、当初は電話のチャネルがメインであったが、チャットボットや有人チャットの導入を開始し、5年目にはノンボイスの比率が50%になった。ここまでノンボイス化の比率を上げると、現場での業務効率化の実感値も高くなる。更なる効率化のため、手続き自動化、コールリーズンベースのチャンネル誘導、電話応対の自動化にも取り組んでいく。
<Web接客>
タッチポイントとしてWeb接客、FAQ、問合せ(自動)、問合せ(有人)、リマインド、アフターフォローの6つがあり、本日はこの順番でご説明する。まずWeb接客に関してはSPROCKET様と連携し、サイト内の行動データをもとにチャットサポートを必要とするユーザーを判別する。適切なタイミングで声掛けすることにより、プロアクティブなチャットサポートを実現可能だ。ある外資系生命保険会社様で導入いただいており、他の企業様にも展開していきたい。
<FAQデータのチャットボット有効活用>
このプロセスではオペレーターにつながる前に、FAQでお客様にできる限り自己解決を図っていただくことが主題となる。「PKSHA for FAQ」様と連携し、FAQのデータをチャットボットへ有効活用することで自動応答対応し、オペレーター負荷を軽減できる。また「SAI Chat」様と連携し、タグを選択するだけで検索不要な独自AI搭載のチャットボット/FAQシステムも用意している。
<問合せ(自動・有人)>
当社もチャットボット「MOBI BOT」を提供しているが、その他にも国内外の優秀なAIエンジンがある。お客様の独自開発AIとの連携など、新たなAIにも柔軟に対応可能だ。大きく分けて2つのパターンがあり、対話型はAIに任せ、シナリオ型はMOBI BOTと後続のシステムと連携したり、定型手続き業務の効率化を図ったりしてビジネスに貢献している。業種別に定型化しやすい業務比率を見ると、金融でも定型業務比率は高い。定型業務を分解していくことで、自動化やノンボイス化への道筋が見えてくる。
損保業界で業務プロセスを分解したところ、請求書受付が自動応答に適しており、徹底的に進めた事例がある。アニコム損害保険様は従来ペーパーベースの請求フローだったが、LINEによる請求フローを導入し、僅か数分で対応できるようになった。非常に利便性が高いシステムで、利用率・利用者数は右肩上がりで増加し、LINE請求比率は50%以上に達した。
有人に関しては、当社の有人チャットシステムの「MOBI AGENT」とパーソル ワークスデザイン様の「AQchat」を連携。有人チャット対応内容の自動評価により、オペレーターへの納得度の高いフィードバック(EX向上)によりお客様満足度(CX向上)に繋げる。
<SMSやLINEでのリマインド>
リマインドに関しては、LINEのアカウントからの発信に加え、SMSでの発信も重要だ。そこで市場シェアNO.1のSMS配信サービスであるAccrete様と連携し、SMSとLINEのどちらからも通知メッセージを飛ばせるようにした。どちらか一方に気づかなくても、もう一方でフォローできるので、顧客の確認漏れを防げる。またLINE通知メッセージの導入効果は高く、顧客にとって必要な通知や利便性の高い仕組みは、好意的に受け入れてもらえる可能性が高い。
<アフターフォロー>
CRMやRPAと連携し、顧客情報を蓄積して後工程を自動化し、問合せ後の業務も効率化する。SBIいきいき少額短期保険様ではLINE上での保険金請求の自動受付を導入。請求の際の本人確認、契約および口座情報をSalesforceと連携することで請求手続きの完全自動化を実現している。au損害保険様は電話での初回事故受付後、LINEへ誘導してSalesforceとの顧客ID連携、事故ステータス管理、およびチャット履歴管理等の顧客対応サポートサービスを実現している。
ボイスボットでも後続のRPA連携の事例があるのでご紹介する。SBI生命保険様では生命保険料控除証明書の再発行を、当社の「MOBI VOICE」により自動応答で受け付けている。「MOBI VOICE」で受電したうち、65%は生命保険料控除証明書の再発行の手続きが完了。そのうち61%はすべて回答し、人の手を介さずに再発行手続きを完了できている。
<導入前から運用まで支援するカスタマーサクセス>
コンタクトセンターの生産性向上には、問合せ前段階の設計、効率的な対応、解決率・満足度向上の3つの要素が必要だ。これら3つを横断するには、全社的に取り組む必要がある。当社は分析の段階から支援するサポートDXデザインを提供。分析結果から現状を可視化し、最適なチャネルを再設計し、導入の必要性とその価値を試算することが可能だ。カスタマーサクセスプランとして、導入前フェーズ、導入直後、運用改善フェーズの3段階で支援サービスを用意している。
当社のカスタマーサクセスを上手く利用いただいているのがエレコム株式会社様だ。以前は複数の動線が存在し顧客にとって分かりにくく、システムもバラバラで運用されていた。動線とシステムの課題の洗い出しと全体の再設計により、動線が改善され応答率の向上を図る。現状把握分析・課題の深堀、全体フローの再設計が完了し、2022年8月現在はシステム構築・PDCA支援のフェーズに入っている。
<今後の取り組み>
電話の領域について、我々がもっと貢献できることがあるのではないかと考えている。従来の電話サポートとボイスボットの連携をより深めていきたい。電話サポートが繋がらないケースがあるのは、1対1で顧客と拘束し合うためで、ボイスボットをハイブリッド活用することが重要だ。ボイスボットが一時的にでも対応することで、お客様には繋がる安心感が生まれる。ボイスボットを活用すれば24時間365日の運用も可能だ。またAI ボイスボットを活用したIVRの運用により、要件をダイレクトにボイスボットに伝えることでスピーディに担当オペレーターが対応できるようにする。さらにMOBI VOICEとPBXとCRMの自動連携により、都度の本人確認や繰り返しの質問を省略し、顧客満足度の高い応対を実現したい。
◆講演企業情報
モビルス株式会社:https://mobilus.co.jp/