2022年11月17日(木)開催 INSURANCE FORUM「保険業務におけるデジタル化の最前線」<アフターレポート>


2022年11月17日(木)セミナーインフォ主催 INSURANCE FORUM「保険業務におけるデジタル化の最前線」が開催された。新型コロナウイルス感染拡大を皮切りに、保険業界でもペーパーレス化や業務の効率化などワークスタイルの見直しが進んでいる。また、高度なテクノロジーを活用した、既存業務の改革や新規事業の開発など新たな取り組みが加速しており、保険会社も日々、目まぐるしく変化をしている次第だ。本フォーラムでは、第一生命保険株式会社とあいおいニッセイ同和損害保険株式会社の取り組み事例をはじめ、協賛企業各社によるセッションを通じて、デジタルを活用した保険業務の最新動向をお届けした。本フォーラムが保険業界の発展と、皆様にとって業務効率化の一助となれば幸いだ。

目次

「SalesforceはCRM?だけじゃない!最新ユースケースをキャッチアップ」

【講演者】
株式会社セールスフォース・ジャパン
インダストリーズトランスフォーメーション事業本部保険業界担当
ディレクター
東山 勇介 氏

360度あらゆる業務でのカスタマー支援を目指す

株式会社セールスフォース・ジャパンが提供するSalesforceは、CRM(顧客関係管理)アプリケーションとして、9年連続で世界No.1シェアを誇る。

CRM市場で大きな評価を得ているが、Salesforceが目指すソリューションはCRMに留まらない。1999年の創業、2000年に日本市場でビジネスを展開し始めて以来、企業と顧客とのつながりを深める支援に尽力。顧客からのフィードバックに支えられ、戦略的に成長を遂げてきた。

今では、「360度あらゆる業務で顧客を支援すること」をSalesforceのソリューションコンセプトとして掲げ、CRMを起点にさまざまな分野へと支援体制を強化。例えば保険業界なら、新商品の企画・開発から営業支援、カスタマーサービス、フロント業務と保険業務のバリューチェーン全体をサポートできるようにソリューションの拡充を図っている。

<Salesforceで実現する保険のフルデジタルカスタマージャーニー>

従来のSalesforceのユースケースは、製品ごとにどのようなソリューションを実現できるか個々に紹介することが多かった。しかし、製品一つ一つを個別に利用するよりも、組み合わせて活用することで実現できる価値がある。進化を遂げたSalesforceでは、どのようなシチュエーションで活用できるのか、各業務シーンに合わせた組み合わせ例を紹介しよう。

<【ケース1】営業・加入手続きから契約までWeb上で完結>

険の主たる業務である営業活動では、プランの提案から加入手続き、契約までの一連の流れをWeb上で操作、管理できる。

核となるのは、既存顧客の情報を一元管理しているCRMとしての「Salesforce Financial Services Cloud(以下Financial Services Cloud)」。フロント・ミドル・バックオフィスのデータをサイロ化することなく、集約することで優れた顧客サービスを実現。登録された情報をもとに、パーソナライズされた新たな保険プランの提案を可能にする。

プランの説明や商談は、見積書などを提示しながらオンラインで面談。提案したプランに納得いただけた後は、SMSで誘導した申し込み用のWebページから契約手続きに進める。内容のチェック、本人確認、電子署名、クレジットカード決済まで、スマホ上で完結する仕様だ。契約の申し込みは、 Financial Services Cloudにて引き受け査定が実施され、契約完了まで一気通貫で処理される。

契約が成立すると、Salesforce Marketing Cloudから、カスタマーエンゲージメント処理が発動。契約のお礼と、アプリへの登録を促すメールが自動送信される。顧客がアプリを登録すると、無料で利用できる付帯サービスや商品開発チームからのメッセージがアプリに届くところまで、自動化されている。

このように、CRMを起点として保険の見積もり申し込みから契約後のカスタマーエンゲージメント、さらに住所変更などの保全業務まで、フルデジタルでのカスタマージャーニーを実現している。顧客の日常に寄り添い、接点を継続することで顧客エンゲージメントを高めるシナリオを描くことができる。

<【ケース2】新商品の開発・販売に向けた支援>

これまでSalesforceでは支援しきれなかった領域として、新商品の企画や開発もカバーできるようにソリューションを拡充。データドリブンでの新商品開発プロジェクトを支援する。

保険プランは、顧客ニーズをふまえた上で、他社との差別化を図り、独自の付加価値を提供できるような内容が望ましい。そこで、CRMに蓄積したデータに基づき、AIデータ分析システム「Tableau」を活用して、どのような世帯、どのような趣味の層が保険に関心を寄せやすいか傾向を自動分析。外部の調査データと組み合わせることで、見込み顧客のペルソナに適した保険プランや付帯サービスをデータドリブンで開発できる。

プロジェクトがスタートしたら、コミュニケーションプラットフォームとなる「Slack」が活躍。他の部門メンバーや協業する社外メンバーと迅速に連絡を取り合える。さらに、商品開発部門と営業担当部門がダイレクトにつながるので、商品開発担当者から営業担当者や代理店向けに情報を提供したり、開発の狙いなどを伝えたりすることができる。

これまでは商品開発部門から本社の営業部門、さらに代理店マネジャーという具合に、階層構造で情報が伝達されていくコミュニケーションが主流だったが、ダイレクトなコミュニケーションを可能にすることで新たな可能性が生まれると考えている。

さらに、開発した新たな保険商品の構成やシステム実装は、ノーコード、ローコードで可能。システム関連の業務にかかる時間や工数を大幅に削減できるのも利点の一つだ。

<【ユースケース3】データ連携とパーソナライゼーションによるマーケティング>

保険ビジネスでは他社との差別化を図るために、「顧客の瞬間を捉えて、感動を提供する=瞬感」を生み出すような、パーソナライズされた顧客体験の提供が求められている。

しかし、システムが分散し、データが統合されていない環境では、その実現は難しい。Salesforceでは、「Salesforce CDP(Customer Data Platform)」と「MuleSoft」が全システムをリアルタイムに連携し、データを統合。CRMのみならず、社内外の様々なシステムやメールソフトとのAPI連携により、Salesforce CDPにデータを集約している。

多方面から蓄積された顧客情報から最適解を分析することで、次のアクションにつなげるヒントが提示される。その積み重ねが、パーソナライズされた顧客体験になる。

例えば、出産を機に保険の見直しを考えている保険契約者の行動を例にみてみよう。
ウェブサイト上で商品概要を確認した後、マイページから面談を予約。表示されたアンケートに保険を見直す動機や質問事項を記入する、といった行動の全てが顧客データとして記録され、蓄積されていく。

面談担当者には、CRMに蓄積されている契約情報に加えて、Webサイト上での行動データから分析したネクストベストオファー」が提示されるので、それを参考にすることで顧客に寄り添った提案が可能になる。

さらに、データが統合されていることで、住所変更などの契約情報の保全手続きは顧客自身で操作が可能に。電話連絡や書類の取り寄せなどの手間を省き、直感的なUIでマイページから操作できる。

<全てのステークホルダーを一つのプラットフォームでサポート>

このように、Salesforceが提供するソリューションは、CRMの枠を大きく超えて保険のバリューチェーン全体をカバーし、全てのステークホルダーを一つのプラットフォームでサポートできるように進化を遂げた。

バリューチェーンやステークホルダー全体のサポートを実現する鍵は、データの連携と統合。集約したデータを有効活用するために、データ分析やコミュニケーションツールなど、さまざまなアプリケーションとAPI連携を実現。必要に応じて、システムを組み合わせながら、よりフレキシブルな運用を実現する。

Salesforceは、個々の製品で何ができるか、どのような機能があるのかではなく、システムを活用することでパーソナライズした顧客体験をどのように提供できるか、従業員の働き方がどのように変わるのかを起点に取り組みを続け、ソリューションの進化を続けていく。

◆講演企業情報
株式会社セールスフォース・ジャパン:https://www.salesforce.com/jp/

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